disc review幼さと色気の狭間で酔わせる、キッチュなダンスポップ

shijun

popgirl.EPTEENAGER SEX LESS

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関西の4人組バンド、TEENAGER SEX LESSのデモ音源。現在は活動を行っておらず、入手困難な一枚ではあるが、Vo.の萌里のSoundCloudですべての楽曲をフルで観賞できるため紹介させていただく。そこまでしてでも紹介したい一枚でもある、ということである。スペーシーでチープでドープなシンセの音を活かしたニューウェーヴィーな音像に、幼さの中にも色気を感じる舌足らずな萌里の歌声が栄え、ひたすらに快楽物質が溢れだす一枚に仕上がっている。

ダンサブルなリズムで近年のEDMなどの要素も取り入れた#1「ALIEE」。思わずとろけそうな萌里の歌声も合わせて奇妙な酩酊感をもたらしてくれる。お酒を飲みながら踊りたい一曲に仕上がっている。ミニマムなギターフレーズのイントロから2000年代以降の洋POP風の洒落たメロディが現れる表題曲#2「popgirl」。ポジティブな雰囲気だがチープなシンセが絶妙に明るくなりきらず、アンダーグラウンド感を醸し出しているか。怪しげな雰囲気でニューウェーヴ濃度の高い#3「ufo」。何かが崩れるようなフレーズが随所で挟み込まれ、チープなホラー調のシンセも怪しげに拍車を掛ける。萌里の歌声もまるで酔っぱらっているかのようなフラフラ具合で、時には吠えるように叫ぶ部分も。落ち着いたAメロ、癖のあるBメロ、そして盛り上がるサビという王道ながらもちろん良い構成の#4「skirt」。「誰にも言っちゃだめだよ」「スカートめくってちょっとだけ見せてよ」などのキラーフレーズがメロディの波の頂点にぶつけられ、しっかりとハマっているのも良さである。#1以上の酩酊感を齎してくれる中毒性の高い一曲に仕上がっている。

四曲とも、ダンスミュージックやニューウェーヴ、そしてポップスの色々な要素から、酩酊感と中毒性を爆裂的にもたらしてくれる部分だけを抽出したような出来。是非お酒を片手に聴いてほしい音楽である。現在、リーダーでもあったVo.萌里はCHECHEというバンドで活動中であり、SoundcloudではCHECHE版の「ufo」を聴くことが出来る。そちらはチープさは抑えめでよりモダンな仕上がりになっている。こちらも要注目。

「ufo」、CHECHE版はこちら。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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