disc review優雅な休日のためのサウンドトラック

shijun

SWINGING POPSICLESWINGING POPSICLE

release:

place:

日本のインディーポップバンド、SWINGING POPSICLEの1stアルバム。1995年結成ながら現在も活動を続ける息の長いバンドである。1stアルバムながら若さはあまり感じさせず、聞かせてくれるのはファンク、ジャズ、ネオアコ、スウェディッシュポップなどを下敷きとした大人のフィメールポップである。

#1「遊びにおいでよ」、#2「Parade」と、まずはファンクをベースにしたノリのいい楽曲が並ぶ。#3「太陽の休日」では優雅なフェイクジャズでよく晴れた休日の風景を思い起こさせてくれる。#5「Le Jardin a Toi」は打ち込みを基調とした穏やかな曲で、優しいメロディラインが心にすっと染み渡るも、色々な音がおかずとして挟み込まれるところに音楽的遊びも感じられる。#7「哀しみの果て」は哀愁漂うジャジーな楽曲。ちょっと歌謡曲っぽさもあるか。特に哀愁だだ漏れのギターソロに注目。その哀愁ムードをそのまま引き継いだイントロから、励ますような歌詞への繋ぎが見事で、不思議とメッセージを素直に受け入れられる構成になっている#8「Beehive」。アウトロのスキャットも良い。その流れを断ち切るようにハッピーな雰囲気の#9「Kitchen Table」。Aメロ前のキャチーなリフや、サビのほぼ合唱なコーラスワークがまた楽しげ。ベッタベタの楽しげなホーンセクションから最高な#10「Joy of Living」。どキャッチーなフレーズで生活を楽しめと歌う人生讃歌。#11「Whisper of The Leaves」は優しく切ないメロディが堪能できるバラード。サビのベースラインも聞かせる出来。#12「昨日の夢」はアコギのアルペジオに乗せて優しく、しかし浮上しないメロディを歌うアルバムのアウトロと言える曲。

現在のシティポップムーヴメントにも類似点を見出すことができそうな、良質なポップスを全編にわたって聞かせてくれる。Vo.を務める藤島美音子の歌唱もいい意味で若さを感じさせない、しかし瑞々しい歌唱で楽曲の魅力を増幅させている。日々に物足りなさを感じている人は是非このCDを手に取ってみてほしい。きっと、SWINGING POPSICLEがあなたの休日を彩ってくれることだろう。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

このライターの記事を読む