disc reviewinterview cllctv. meets corner of kanto 『耀く池』リリースに寄せて
『昼の庭』から実に7年。関東の端からジャパニーズロックのエッジを奏でるcorner of kantoの2作目、『耀く池』がリリースされた。前作から数段積みあがり大局を感じさせる構築美と、その一方で言葉はより心情に寄り添うものも多い。バンドにとってもリスナーにとっても、長かった7年とそこから生まれたこの作品をインタビューで埋めることができればと思う。インタビューは中野某所にて、矢部(Gt/Vo.)、小紫(Gt.)、成塚(Ba/Cho.)、漢人(Dr.)の4人フルメンバーとインタビュワーであるトモヒロツジを交えて行った。
-DTMとして一人で音楽を完成させられないわけではないと思うけど、スタジオでそれをみんなに発表して詰めて行って。バンド音楽のそういうところに惹かれてるんだなと。バンド音楽をめちゃくちゃ作りたい、となった期間だった。
ツジ: じゃあ、インタビューはじめましょう。お願いします。
Q1. 前作『昼の庭』のリリースから7年ありました。その間にコロナとかいろいろあったけど、この期間で音楽との向き合い方に変化はありましたか?
小紫: 僕は多分、3人と違うかもしれなくて。何のための音楽なのかっていうのを考えることが増えたなと思う。
ツジ: なるほど、何のための音楽なのか。
小紫: ライブで聴かせる音楽なのか、家で聴く人のための音楽なのか、みたいな。自分はシーンを考えながら音楽をつくることが多いんだけど、カントーでやってるのは、この人たち(corner of kanto)のための音楽というか、そんな感じがしていて。すごく内向きっぽいというか。
矢部: 小紫はそこに困っているんでしょ、今。どういうふうにコミットしたらいいかというか。
小紫: そう、一番迷走してるかも、今。
矢部: となると、そんな中でどんな風に曲のフレーズ決めてったのか聞きたいな。
小紫: 楽曲のデモは最低限3ピースで完成するような感じで、そこの間を縫うというか。空間があったら自分でこう、こんにちはって主張するけど、それがないところは、隙間を縫うようにやってる。
ツジ: 矢部くんの作るデモは、小紫くんのパートは入っていないことが多い?
小紫: 入ってるときもあるんだけど、逆に入ってないと、もうやることなくない?みたいな。いざ糸口があっても、難しい時もあるし、それはそれで大変ですね。
ツジ: なるほど。漢人くんは、何か変化あった?
漢人: 一個、シンプルに変わったものがあるとすれば、音楽にお金かけられるようになったところかも。それこそよくフェスとか行くようになったりでインプット増えたり、作曲するのに機材もそろってきて、よりじっくり向き合えるようになったのはある。
ツジ: 順当に音楽にかけられる時間が増えてきてる感じがあるね。あと二人はどっちから聞こう?
矢部: じゃあ矢部から。この7年だと、一回音楽を全然聴かなくなって、最近また聴き始めたっていう流れがあったかな。ライブができなくなって時間が増えたら、なんか本を読むようになりましたね。もともと文学とか好きだったけど、中学生の終わりくらいからバンド音楽に目覚めて。それでしばらく来てたけど、コロナから2年ぐらいはずっと本ばっかり読んでて、文字のインプットが多かった。
小紫: 書いてたよね、実際に小説。
矢部: そう。それらのインプットの集大成として、初期古墳時代を舞台にした小説を…。
ツジ: 初期古墳時代を舞台に…?初作なのに攻めた設定だね。なかなか。
矢部: まぁその話はいいんだけど 笑。だんだんコロナも明けてみんなでスタジオ入れるようになると、音を出すのって面白いなって気がついて。音楽自体、人と演奏することありきで作ってたんだなと。DTMとして一人で音楽を完成させられないわけではないと思うけど、スタジオでそれをみんなに発表して詰めて行って。バンド音楽のそういうところに惹かれてるんだなと。バンド音楽をめちゃくちゃ作りたい、となった期間だった。