disc reviewコーヒーカップといくつかのクッキーと
Mother’s Daughter and Other Songstunng
予定のない休日、午後、たまたま立ち寄った喫茶店で流れていた音楽が、仕事に疲れた気持ちを穏やかなものへと変えてくれた。そんなシチュエーションに相応しいフォークトロニカを奏でるイギリスのフォーク、エレクトロバンドtunngの1stフルレングスとなる作品。
爪弾かれるアコースティックギターのアルペジオと、落ち着いた男性のミドル〜ロートーンのボーカルワークに寄り添う電子音。まどろみを誘うような暖かさと穏やかさに包み込まれ、自然と瞼は重くなっていく。単調になりがちなシンプルなアンサンブルに、足し算の要領で電子音やストリングスを織り交ぜるその様は、機織り機が少しずつ布を織り、作り上げていく様子に似ているかもしれない。
タイトルにもある#1のMother’s Daughterに始まり、終わりまで高いところから低いところへ水が流れ落ちていくように、スムーズに聞くことのできる作品である。どの曲もフォーキーで幻想的だが、特に#4のイントロの涙腺を揺らすアルペジオは秀逸だ。また、#6もどこかカントリーな雰囲気を感じさせ、異国情緒溢れる空想に溺れてしまう。
大切な休息の時間に聞く音楽。このCDがそんな中の一枚であれば、それはとても素敵なことだと思う。
Song Of The Sea