disc review狂乱のジャパニーズ”艶やか”オルタナ
愛の包丁MAMADRIVE
神戸出身のスリーピース・ロックバンド。MAMADRIVEの3rd mini album。
敢えてわかりやすく紹介するなら、椎名林檎やGO!GO!7188を激しくした感じ、と言うとイメージがつく人もいるかもしれない。実際そう言った印象を持つ人も多いんじゃないかと思う。
彼女らの魅力の一つに、「和」の持つ艶めかしさがある。和を意識したメロディラインはもちろんの事、歌詞やPV、ジャケットに至るまで和のエッセンスが存分に発揮されている。そもそも曲名まで「花屋敷炎上」だ。それを彩るのが鋭く切り裂くようなギターをはじめとするオルタナサウンド。#1の語りの後ろで鳴り響く轟音ギターにはトランスせざるを得ないし、#4の炎上する花屋敷の狂乱を表したかのようなカオティックなサウンドには思わず情景が浮かぶこと請け合いだ。#5の和音ベースが重たいイントロもたまらない。やってることは結構変態的な部分もあるのだが、わかりやすい世界観に対して必然的に鳴らされているので、違和感なくそのサウンドを楽しめるのは流石と言ったところだろう。隠しトラックは怪しすぎるナレーションから始まる、ヨーロッパを舞台にしたホラー映画の舞踏会のような曲。アルバム全体からすれば浮いているため隠しトラックなんだろうが、怪しげで艶やかな彼女らの魅力を別方面から調理した感じで、本編に全く見劣りしていない。
艶やかで激しい女性ボーカルを求める人、和風なメロディをこよなく愛する人、オルタナティブロックの要素に悶絶できる人、MAMADRIVEをまだ聴いていないのであれば、是非とも手に取ってみてほしい。