disc review楽しくて、ちょっぴり虚しい日々の話

shijun

569GO!GO!7188

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日本のスリーピース・バンド、GO!GO!7188の6thフルアルバム。
デビュー当初はグループサウンズ、歌謡曲、パンクなどの要素を前面に押し出すも、一方で「こいのうた」「C7」と言った等身大の女子を描いた歌詞で主に女子中高生に人気を博した。その後、歌謡曲的クサメロはさらに尖り和風メロディになると同時に、サウンド面はグランジ的に寄って行った。重く苦しい楽曲が多いながらも3rd~4thは商業的に成功し二度の武道館公演を行うなど、日本のガールズロックを代表するバンドとなったGO!GO!7188。しかし外部プロデューサーを招いた5thアルバム「パレード」ではそれまでの暗さを一変させ、ギターの音作りも軽めに、メロディも歌謡曲的要素は残しつつも、雰囲気はとても明るくなり、違った一面を見せるも賛否両論の作品になった。

 

その流れの上にあるこの6thアルバムは、結論から言えば5thアルバムの路線を引き継いだアルバムであり、3rd~4thの様なグランジ的楽曲は変拍子を取り入れた#8程度にとどまっている。ライブを意識して制作されたアルバム、ということもあり、GO!GO!史上最速のBPMで2ビートで爆走する#1をはじめ、スカ調にはじまりサビは疾走する#2、大人っぽいブギー調ではじまるもやっぱりサビで明るく疾走する#4、軽快なドラムが印象的な#10など、ノレる曲が多い。ひとくくりにノレる曲では片づけられない引き出しの多さは歴を感じさせる。

しかし、このアルバムの真髄は#5、#6、#12、#13に見られるゆったりした曲達だと思う。これらの楽曲は過去作の様に底抜けに暗いわけではない。しかしどこか物寂しげで虚しい雰囲気を漂わせている。ギターの音作りが轟音オルタナ的になっているのもその雰囲気作りの一助だろう。旅の希望と不安を明るく歌った#5、眠りの間際のうつらうつらとした時間を、歌詞だけでなく音像まで駆使して描いた#6、珍しく社会風刺を含ませつつどうにもならない自分の事を歌う#12、そして、タイトルからして虚しさを掻き立てる#13「えそらごと」。どれも希望と絶望の間を縫うような、歌詞、曲調。どこかに寂しさを感じている人間ほど、このアルバムにはシンパシーを感じるのではないだろうか。

 

この後、GO!GO!7188は二枚のアルバムを出して解散する。7th、8thともに初期のGS、パンク路線を復活させたかのようなアルバムで、その上底抜けに明るい楽曲が増えており、このアルバムで魅せたほの暗い虚しさは抑えめになっている。結果的にこの路線は失敗だったと判断されたのだろうか。残念でならない。(今回は「569」のレビューという都合上、このような書き方になりましたが、勿論、5thや7th、8thも別の観点から見れば名盤です。そのうちレビューしたいところです。)

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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