disc reviewWe love dance and music lovers
HIGH★SCHOOL★DISCOTHE JELLY LEE PHANTOM
日本のダンスロックバンド、THE JERRY LEE PHANTOMの6thアルバム。メジャーレーベルにも籍を置いていた彼らが自主レーベル「PUNK★THE★DISCO」を設立して初のアルバムである。アルバムタイトル、レーベル名からも分かるように、音楽性はディスコミュージックの影響を受けたダンサブルなロック。レトロなキーボードもキレのいいギターも、全てはリスナーを気持ちよく踊らせる為だけに鳴らされている。
小気味良いスネアの音から始まる#1「THE CLASH」から既に全力でこちらの体を揺らしにかかってくる。カッティングを交えつつボーカルとユニゾンするギターだけでもダンサブル。そこにレトロなディスコ調のキーボードやうねるベースまで入ってくる。この一曲を聞いただけでも彼らの躍らせる姿勢が伝わってくるというものだろう。#3「U.F.O.」では横ノリでややアダルトな雰囲気も醸し出してくる。サックスかトランペントの代わりとばかりにジャジーなソロを決めるキーボードが愛らしい。歌詞は恋愛模様をUFOに例えたもので、正直頭を使って読み解くような要素は皆無だが、それもまた「難しいことは考えなくていいから踊ろうぜ」という彼らの姿勢を感じさせる。ハイハットがダンサブルに刻み続ける#5「D.D.D.SCHOOL」では再び縦ノリに戻る。歌詞の言葉選びも絶妙で癖になる味わいだ。
#6「FEVER!」はタイトルに反してやや落ち着いた曲。とはいえ、テンポこそ落としたが相変わらずディスコポップしており、「FEVER! DANCE PEOPLE!」と繰り返すサビといい相変わらず躍らせる気満々である。#7「SURF RIDE BABY」はチープな打ち込みのドラムが目を引く。メロディは一昔前の日本の夏の海と言う感じの歌謡調で、ちょっと胡散臭ささえ振りまいているのがまた楽しい。#8「EVERYDAY EVERYNIGHT I NEED YOU」は舌足らずな女性ボーカルがタイトルを連呼し続けたり、打ち込みのみの4分近くのアウトロがあったりとアルバム中最も異様な曲。
今回のレビュータイトル「We love dance and music lovers」は#2「MUSIC LOVERS」の歌詞から引用させて頂いた。まさに彼らの所信表明とでも言うべき一節であり、この一節が彼らの魅力全てを表現していると言っても過言ではない。ダンスとミュージックを愛するすべての人に、彼らは愛を投げかけているのだ。
2005年に惜しくも活動休止し、翌年「THE BEACHES」として活動を再開するもそちらも休止してしまった彼らだが、2015年に入ってからHerman H.&The Pacemakersの企画にTHE JERRY LEE PHANTOM名義で出演。さらにBAYCAMP’15にも出演するなど僅かながら活動を再開している。本格的な活動再開といった感じでは無さそうだが、満員のフロアを踊らせる彼らの姿を再び見れる日は近いだろう。