愛知県岡崎市を中心に活動していた3ピースガールズバンド、absentmindednessの2ndアルバム。現在は活動休止中。エモ、メロディックパンクなどの影響を受けた王道なガールズロックで、やや和の心も感じられる切ないメロディと、そこに乗る哀しい歌詞が特徴的である。それでありながら、音像や声にはそこまでの悲壮感は無く、どちらかと言えば無機質な白っぽい音であるのがまた持ち味であり、逆にエモーションを駆り立てて来るから不思議である。

疾走感+マイナーコードの組み合わせが堪らない#1「Blind」。HAWAIAN 6あたりを彷彿とさせる出来だが、どこか都会的なエッセンスも感じられどちらかと言えばUNLIMITSに近いだろうか。#2「ノクターン」はミドルテンポであるがやはりエモ由来のメロディックパンクを感じさせるアレンジになっている。#3「image」ではやや明るさを取り戻すも、やはりどこか刺すような切なさがあり、その絶妙なバランスが心地よい。#4「ノスタルジア。」はベースの音色やイントロなどから微妙にニューウェーヴを感じさせるダンサブルな一曲。個人的にはCメロのメロディの単調な中にエモーショナルを感じさせる歌唱が一押しである。表題曲である#5ではサビ裏のリードギターがベタながら都会的エモーショナルを聴かせてくれる。
#6「autobiography」はバラードであり、彼女達の素晴らしいメロディセンスが特に発揮されている曲でもある。Bメロで徐々に加速するエモーションはJ-POPの王道。しかし、例え王道であろうと、ここまでの素晴らしい泣きメロでやられては泣くしかない。バラードと言えどガッシリとした重厚さは変わらず、それもまた泣きを加速させる。

#7「記憶のない12階までの路」はイントロやギターソロなどで漂うシリアスな雰囲気で驚かされるも、サビなどでは彼女達の王道とも言える切ないメロディのポップスに戻る。#8「LOST GLORY」は地元岡崎の先輩であるメロディックパンクバンド”WATER ROOM”のカバー。もともと音楽性が近い上にしっかりと彼女達の音に落とし込んでいるため違和感は薄いか。#9「my hero」は最後らしくピアノをバックに歌われるバラード。これまでの曲よりもVo.の気持ちの入り方が強め。

長く書いては来たものの、彼女達の魅力は卓越したメロディセンスであり、そればかりは文章に落とし込むことが難しい。切ないメロディ、良いメロディを求めている方、是非とも手に取って体にじんわりと染みこむようなエモーションを体感して欲しい。