disc review渋谷系マインドのパーティ理論による再構築

shijun

Party!!!OK!?NO!!

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遅れてきた渋谷系と話題に成った宅録ユニット、OK!?NO!!のフルアルバム。tofubeats「水星」のカバーでも一躍話題に成ったため、名前を知っている人は多いだろう。音楽性としては数ある渋谷系バンドの中でもCymbalsチルドレンと言え、そこにアルバムタイトルにもあるパーティー要素も加え楽しめるポップスに仕上がっている。

「パーティーしよう」という言葉の入った短いIntroの後は、軽快でモロCymbalsな#2「That’s OK, NO Problem」だ。軽快ながらお洒落なコード感やメロディからジャジーな哀愁を感じられるのもポイント。ジャズ、カントリーの要素も感じられる#3「Meat Spa」。この楽しすぎるごった煮感はまさに渋谷系のマインドの正当後継者と言ってしまえるだろう。コーラスも楽しい。#4「Rainy Days」は男性ボーカルメインとなり、フリッパーズ・ギターよりはむしろ堂島孝平あたりのネオ渋谷系ギターポップに通ずる雰囲気を感じさせる。ギターの絶妙なひずみ具合がまさに懐かしくニヤリとさせられる。絶妙なコード感が泣けるギターインスト#5「Some Day My Prince Will Come…?」。ロックンロールなビートとは裏腹にアンニュイな雰囲気で淡々と進む#6「Forget」。淡々とした雰囲気を守りながらもしっかり盛り上がるサビなどセンスの塊と言える。ジャジーなウォーキングベースの上に単音で動き回るギターが存在感を出す#7「Take Me All Night Long」。こういう実験的な楽曲が挟み込まれる感じも渋谷系だった気がしてくる。#8「Bazooka & Haagen-Dazs」はカッティングを聞かせたシティポップ、A0R調の楽曲にパーティなラップが乗っかる楽しく揺れ踊れる一曲。#9「Party!!!」はこれまたCymbalsっぽい楽し気な軽快ギターポップ。#10「After Party」は弾き語りでしっとりとした締め。

Cymbalsフォロワーらしさを出しつつも、やはりそれだけではなく色々な音楽の要素をかみ砕き再構成し、時に実験的なこともいとわない、そのマインドこそがまさに「遅れてきた渋谷系」たる由縁なのだろう。なんとBandCampでname your placeなので気軽に手を伸ばして聴いて欲しい。

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WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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