disc review3の若手激情による、未来を占う共催音源

tomohiro

Careless / Det är därför vi bygger städer / sans visage 3way Split Careless / Det är därför vi bygger städer / sans visage

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3月11日よりスタートする、スウェーデンの北欧激情正当後継とでもいうべきバンド、Carelessのジャパンツアー(一部の日程にはDet är därför vi bygger städerも参加)。それに合わせてリリースされるのが、ストックホルムからCareless, Det är därför vi bygger städerの2バンドと、東京からsans visageの3 way splitである。今回全日程を帯同するのは、初音源”Demo #1″の時点で、非常にエモーショナルで美麗なエモヴァイオレンスを体現しており、耳の肥えたハードコアリスナー達をうならせた若手激情バンド、sans visage。昨年のBlind Girlsのジャパンツアーでより知名度と実力を蓄えた彼らの、満を持しての主催となる。

 

sans visageの結成は2013年4月、まだ結成3年に満たないバンドだが、既にデモ音源として2枚のCDを世に送り出している。現在は3人編成の彼らだが、この2枚の時点では、4人編成での音源であり、ギターとしてNENGUで活動する馬場が参加していた。彼の弾くきらびやかでテクニカルなギターによって、sans visageのサウンドは、欧州激情の感情を残したドライさと日本の残響系のような瑞々しい鳴りとを兼ね備えたエモーショナルなサウンドを構築しており、Suis la luneVia Fondoのような北欧激情と、FrameworksThe Saddest LandscapeのようなTopshelf系列のポストハードコアの間に立つような存在感を持ち合わせていたように思う。

今回のスプリットに収録されているのは、3人となってからの初めての音源だ。驚いたのはその音のドライさとヴァイオレンスさ。影響を受けたバンドとして、Snöras, Suis la luneのような北欧激情とともにCarrion SpringLoma Prieta, DaïtroのようなUS、欧州激情を挙げているGt/Vo. でありコンポーザーのkamiyama氏の、欧州激情に傾倒した一面が垣間見える2曲となっている。ギターの音作りも明らかにドライに変化しており、こういった方向性への変化には、Deathwishっぽさも感じるのだが、このあたりはBlind Girlsとのライブが何かしらの影響を与えたのではないかと思った。

 

 

また、Careless, Det är därför vi bygger städerも同じく強烈な音源を用意してきている。

Carelessは同じくスウェーデンで活動するブラッケンドハードコア、No Omegaのドラマーが所属しており、昨年の来日の際のNo Omegasans visageとの対バンが今回の招聘へとつながったということだ。Carelessは昨年リリースの音源の時点で既にポストロック、アンビエント的美麗さと、ブラッケンド、シューゲイズのような轟音要素が北欧激情的悲痛さでまとめあげられた名曲”Small hours”を含む素晴らしい音源をリリースしているのだが、今回は、アルバムの1曲目としてふさわしい、振り切らんとするテンションと溢れ出る感情を抑えようともしない音が美しい”dalliance”をはじめとした、北欧激情の先人へのリスペクトも十分に感じられる2曲を送り込んできた。北欧激情ファンとしては涙なしには聞けないだろう。

また、今回正直ノーマークだったDet är därför vi bygger städer(読み方がわからない)だが、 完全に予想を良い意味で裏切ってくるバンドだった。うろんなボーカルによるポエトリーを交えつつ、少しずつ、悲痛さを滲ませていくように展開していく楽曲は、3バンド中最も情緒豊かで、描写的だ。と思ったら2曲目にはしっかりと他の2バンドに合わせるような楽曲も入れてきている幅の広さが面白い。なんといってもボーカルの下手なシャウトの味の良さに尽きるバンドだろう。未だ音源は、他バンドとのスプリットしか存在していないようで、ちゃんとしたフル音源が出来た時にどういった変化が見られるのか、今から楽しみなバンドだ。

ツアー名古屋編は、quiquiの仕切りであったりと、若手のハードコアバンド達の活躍も今回のツアーの見どころだろう。また、3/19のファイナルはDet är därför vi bygger städer, FORESTS(台湾のバンドではない)のような外タレも加え、国内からもakutagawa, endzweck, Deepslauter等を迎え万全の布陣だ。国内のハードコアリスナーは決してお見逃しのないよう。

参考 : Interview with Kemishima(Sans Visage)

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tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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