disc review生き急ぐ少女の為のTwee SoundTrack

shijun

2ALL GIRL SUMMER FUN BAND

release:

place:

インディーギターポップに何を求めるか。自然と心踊る様な楽しさだろうか。それとも切なくも瑞々しい青春の煌めきだろうか。どちらにせよ、この”ALL GIRL SUMMER FUN BAND”という名前、この名前自体にインディーポップの素晴らしさが詰められているような、そんな気はしてこないだろうか。

彼女達はアメリカ、オレゴン州はポートランド出身のガールズバンドである。特徴はざらついたローファイなサウンドにポップでウェットなメロディー、そして女性4人という編成を活かしたコーラスワーク。楽し気ながらも攻撃性と切なさが少しずつ混じり合うところがやはりインディーポップとして満点の出来である。

#1「Dear Mr. & Mrs. Troublemaker」はローファイかつ疾走感溢れるパンキッシュな楽曲。でもメロディはどこか優しく切ないところが堪らない。#4「Jason Lee」のミドルテンポにアンニュイなメロディ、そしてこれまたアンニュイなコーラスの組み合わせもたまらない。昼下がりみたいなギターフレーズも美味しい。#7「Daydreaming」は曲名通り少し浮世離れした雰囲気のある楽曲。はるか遠くで鳴る汽笛のようなぷわーっとしたギターが良い味を出している。#8「Video Game Heart」は字余り気味のボーカルラインがゴリゴリとしたパンキッシュなサウンドと相性抜群で刺激的。#10「Parallel Park」はメロウなメロディと単調気味なアレンジがまたしてもアンニュイ気味な空気を醸し出すも、サビではクラップが聞けたりと、この絶妙な陰と陽のバランスがまた落ち着く。ヘロヘロながらグッドメロを弾くリードギターも素晴らしい。#12「Samantha Seclet Agent」はまさにレトロなシンセまで飛び出してノスタルジーすら感じさせる。#14「Tour Heart Tmob」のヤーヤーのコーラスも最高。

全14曲と曲数ほど多いものの、すべての曲が3分以内に終わるところも良く、短い青春の瞬きを切り取ったような、ちょっと生き急いでいるような印象すら受けるところがまた”ALL GIRL SUMMER FUN BAND”という名前通りで、思わず大きく頷いてしまう出来である。この名前にアンテナが反応してしまう人なら、きっとこのバンドを好きになること間違いなし。反応しなかった人も、騙されたと思って聴いてみてほしい。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

このライターの記事を読む