disc review酸いも甘いも詰め込んだ、クールでキュートな都会派ポップ

shijun

Orangerywaffles

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日本のギターポップバンド、wafflesのミニアルバム。声、メロディ、歌詞、バンドアンサンブル、全てを使って描き出される胸にきゅーっと来るような美しい感情の機微。ギターポップファン垂涎の凄まじいほどの青春感、キラキラ感が魅力。ギターポップっぽさもあり、シティポップっぽさもあり、ちょっとオルタナっぽい要素もあり、エレクトロ感もあり……といった奥深いサウンドアレンジも魅力の一つ。

軽快なカッティングとビートに対してゆるやかでメロウなボーカルが生えるAメロ、ファンタジックで柔らかなBメロ、ファニーでキャッチーでダンサブルなサビ、エモーショナルで切ないCメロ、と一曲の中に様々な楽しさを詰め込んだ#1「ライフ」。都会的な疾走感漂うジャジーな#2「春舞人」。細部にまで張り巡らされたこだわりが感じられるアレンジが見事で、特に終盤の展開は圧巻。ウィスパーボイスファン必聴の#3Girl Like Girl」。ふわふわとした優しい空気感の中に、ちょっぴりの緊張感が掛け合わさり、幸せだけど胸がきゅーっと苦しくなるあの感じが楽曲で完全に再現されている。エレクトロっぽい素養も感じる空白を生かしたアレンジもgood。「私をまだ女の子でいさせて」と言うフレーズは屈指のキラーフレーズであろう。アルバムタイトルにもなっている#4「オレンジ」は温度の低いメロディがすっと心に刺さる疾走感のある一曲。シンセもかっこいい。導入の寂しげなシンセと打ち込みのドラムの絡みから印象的な#5「夏の命」。バンドサウンドが盛り上がり始める箇所の素朴で柔らかいギターソロが最高。最後を取る#6「帰り道」は卒業をテーマにしたこれまた胸がきゅーっとなるエモーショナルなポップソング。単語を散りばめて描き出される輝かしくも切ない情景。#5にも通じるシンプルさが逆にクールでエモーショナルなスライドギターソロ、ラスサビのメロディアスなベースフレーズ……聞き所たっぷりなアレンジ。そしてそれら全ての素晴らしい要素を、意識しなくても楽しめる圧倒的なポップソングとしての力。ぜひ聴いていただきたい一曲である。

結成から15年以上経った今でもそれなりのペースでリリースを行っている彼女たち。たくさんの作品をリリースしているため、何をお勧めするべきかと問われると難しいのだが、このアルバムもまた入り口にふさわしい一枚であると個人的には思う。ぜひ手に取ってみてほしい。筆者は未所持だが、このアルバムにボーナストラックを追加した「Orangery+」というアルバムもあるので、今から聞くならそちらの方が良いだろう。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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