disc review草葉の陰に隠れる、カリフォルニアのグッドエモーション
Waste the MomentsColossal Wrecks
米カリフォルニアのエモリバイバル一直線バンド、Colossal Wrecksのフルレングス。音源はbandcampのNYPでの購入か、所属するLauren Recordsホームページからのフィジカルの購入のみ。しかもフィジカルは500枚限定のLPというなかなかに渋いバンドだ。(なぜか価格は10$と格安。)そもそもLauren Records自体、僕は初めて聞くレーベルなのだが、ホームページを見てみると、同郷で一昨年Astheniaやblue friendとともにジャパンツアーを行ったポストハードコア、Calculatorも在籍しているところから、カリフォルニアのエモ、ポストロック、ポストハードコアを中心としたレーベルのようだ。
Colossal Wrecksはまさに正統派エモリバイバルといった佇まいのバンドだ。テクニカルなギターフレーズが歌と絡むミドルテンポの楽曲と、叫ぶ一歩手前の投げ込むようなシンガロング連発のボーカルラインは、初期エモの荒削りな佇まいを色濃く残しており、Everyone Everywhereなんかと一緒にエモリバイバルシーンの第一線で活躍するにふさわしいバンドだと言えるだろう。#1 “Idol Worship”からエモーショナルさと白眉な甘いフレーズが頻出する楽曲なので、ぜひ聞いてみてほしい。
Colossal WrecksやCalculatorに限らず、面白いバンドを多く抱えるLauren Records。せっかくなので自分の備忘録も兼ねて、いくつか所属するバンドの音源を紹介してみる。
Colossal Wrecksと系統を同じくする、エモリバイバルバンド。上ずったボーカルとサビでのハードコアライクなシンガロングからはリアルスクリーモの香りも感じられる。
Rainer Mariaっぽい女性ボーカルへなちょこエモ。
バンド名からして、絶対にShizune(イタリアの激情系バンド)の影響だなーと思ったらまさかのメロディックパンク。しかもバンド名の読みは「死のう部」。ドロドロのハードコアとかやってそうなバンド名なのに、爽やかで面白い。日本人(ないし東洋人)がメンバーにいる。
アコギの弾き語りボーカル(多分Walter Mitty)を中心としたフォーキーユニット。ロックンロールなメロディが地味にうきうきして楽しい。
このようにエモを中心に枝葉を広げるようにして運営しているレーベルのようである。小規模ながらセンスのいいバンドが揃い踏みで、なかなか興味をそそられる。これらのバンドの音源が、日本で流通しているのを見たことがないのが残念だ。流通しているレコードショップとかがあればぜひ教えてほしい。
Colossal Wrecks自体は、東京の激情系バンド、sans visageの参加していた”light roast”というフリーのコンピレーションアルバムから知ったのだが、まさかそこから広げていってこのような面白い出会いにめぐり合えるとは思わなかった。
ここからは個人的な話だが、せっかくのこの機会、僕以外にもこのレーベルのバンドに興味を持った人がいたら、僕のツイッターアカウント(@Tomo_at)かcllctv.rvw@gmail.comへ一報くれるとありがたい。ある程度量がまとまりそうならまとめてレーベルから音源を発送してもらえないか打診してみようかと思ったりしている。