disc review歪でファニーなハリネズミ、ノイズで世界を撃つ

shijun

Tesla / Surf with SharkHedgehog

release:

place:

中国・北京で活動するオルタナティブ・ロックバンド、Hedgehog (刺猬)の2016年のEP(ただし再録中心。)。シューゲイザーやグランジ、ガレージなどの影響を受けた重厚感のあるギターが売りの一つだが、一方でインディーポップやドリームポップを思わせる浮遊感たっぷりな楽曲も聞かせてくれたりと音楽性は幅広い。このEPもたった4曲だが彼らの多様な音楽性を堪能できる一枚となっている。

サイケ、ガレージあたりの影響を感じさせる怪しげなリフに、これまた怪しげかつファニーな女性ボーカルが乗る#1Tesla」。後半で聴ける奇妙な笑い声や発振音がまた感情のボルテージを上げてくれる。荒れ狂う波のような重くうねるリフの中でジャギーな歌声が映える#2Surf with Shark」。アルカイックなフレーズと浮遊感たっぷりなツインボーカルで打って変わって優しく進む#3Phantom Pop Star」。わかりやすく中華風のメロディも顔を出し、日本人であってもノスタルジーを感じざるを得ない。ちょっとノイジーなパートが入るのも彼ららしい面白さか。牧歌的な雰囲気でのんびりと進むドリーミーな#4Star Shine」。A Sunny Day In Glasgowあたりがやってそうな感じもあるが、そこはかとない無骨さと、中国御特有のキュートなチープさがまた絶妙なバランスで彼ららしさを含んでいるか。

前作「Dear Boy, I Wanna Be Your Girlfriend」と併せて、彼らの入門としては最適な一枚であろう。最近はHYUKOHの世界的ヒットなどもあり、アジア圏のインディーズシーンに目を向ける機会も増えてきたように思うが、それでもまだまアジア圏、特に中国に関してはまだまだ日本に文化が入ってきているとは言い難い。このEPを機に、近くて遠い隣国の音楽に想いを馳せて見てはいかがだろうか。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

このライターの記事を読む