disc review根明のシューゲイズ、晴天に映え
AnymoreGleemer
US、コロラドのシューゲイジング、Gleemerの2017年リリース最新作。Sergent Houseの懐刀、Blis.やグランジを強く汲んだCloakroom、microwaveなど、このサイトでも、シューゲイジングと呼ぶべき、手段としてのシューゲイズサウンドをクロスオーバーしたバンドを取り上げてきたが、Gleemerもその一角と言えるだろう。僕のイメージだが、どうやらここ数年、グランジやヘヴィなギターロックを土壌にし、その骨太なサウンドをシューゲイジングな飽和音響で増幅するような手法がUSでの流行としてある感じがする。
Gleemerは、ベッドルームポップ、インディポップを標榜するバンドだが、僕はその本質はもっとハードな音楽性にあると思う。ハードな音楽性というと、なんとも表現が曖昧だが、ロックバンド的佇まいというか、俯いてエフェクターを踏みまくっているバンドではない、明確なエッジとドライさがあるように思うのだ。あと、多分根明。
僕は、誤解がないように願いつつも、彼らは「ウェイゲイザー」なバンドだと思っている。要するにウェイしているシューゲイザーである。彼らの音楽は本質的に根明で、聴いていると、メロディック聴いて元気づけられるようなそんな気分になる。でもその方法論は根暗なのだ。それだけ聞くとどう考えても矛盾なのだが、もはやシューゲイズという方法論はそれだけ深く浸透し、当たり前のように用いられいる。ある種形骸化ではあるが、そもそも精神性というよりも、ガワが先行して名付けられたようなジャンルだし、まぁいいんじゃないでしょうか。僕は普通にこういうの好きなんです。
彼らの音楽には、フェス的な高揚感が詰まっていて、それはシンプルでダンサブルなリズムセクションによっているところが大きい。#2 “Soothe Me”なんかはシンプルな四つ打ちが聴いているだけで楽しいし、そこに乗せるギターフレーズも、まるでパワーポップを聞いているかのようなエバーグリーンさがある。一方で#3 “Come Down”なんかは、しっかりと巻き弦を鳴らす重たい音像でグッと押し上げてくる楽曲で、NothingをはじめとしてDoomgazeと言われるようなハードコア方面とのクロスオーバーも感じさせる。#6 “Cooler, Pt.2″なんかはなんとなく彼らのルーツが感じられるような楽曲で、メロディックの影が色濃く落ちているように思う。あー、エルレみたいだなーこの感覚は。
#7 “Dryness”はメランコリックなアルペジオとサビでのどっしりとした広がりで大きな背中を見せつけてくる一曲。
彼らのテーマは、インディポップ的なメランコリーと歪んだギターの渇きの融合なのではないかと思える。それを象徴するような楽曲が#9 “Light Out”。
海外のバンドは、クロスオーバーをうまくやってのけるなといつも思う。大胆で、突き抜けてる感じはやっぱりドライで気持ちよくて、そういう部分は割と原理主義的な国内のインディーズでは見られないように思うし、そういう部分に惹かれてるんだろうな。カッコよければ正義である。