disc reviewTHEY EAT OUR GLORIA

tomohiro

Memoriesasayake no ato

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3枚の自主制作音源、1枚の流通ワンコインシングルを経て、まさに満を持してというに相応しい期待の中でリリースされた1stフルアルバム。彼らが全国へとその音楽を発信する日を心待ちにしていたリスナーは数知れずいただろうし、自分もその一人だったが、そういったすべてのリスナー達を圧倒的に満足させ、涙させる充実の作品だ。過去の音源から2曲再録しつつも5曲新曲という堂々たる挑戦であり、その全てから広大なストーリーが感じられる。

 

洋エモ、ジャパニーズオルタナがその血に流れる彼らの作り出す音楽は、まさに”Sweetness”な良メロ、良フレーズの宝箱のようであり、一曲一曲の輝きがあまりに眩しい。Vo/Gt. 神社のまさにジャストフィットで、これ以上の何も収まらない歌は、その歌声と共に聴く者の涙腺に総攻撃を仕掛ける。歌を支える楽曲も、もはやオケから泣けるといっても過言でない気持ち良さに溢れており、時として変則チューニングを織り交ぜて絡む2本のギターのアルペジオワークは必聴である。そして土台を支えるリズム隊は、派手さを出すことは少ないが、実に素直に楽曲に寄り添い、そのものの持つ美しさを十二分に引き出す。

 

唐突で変則的な楽曲展開をナチュラルかつキャッチーにまとめあげた、サビで拳が突きあがること間違いないキラートラック#1、アルバムの中でも特に疾走感に溢れ、シンプルながらエモーショナルな歌が光る#2、アルバムのリードトラックであり、イントロのアルペジオからの音の奔流で涙が溢れる#3、低めの温度感ながらもしっかりと歌を聴かせる#4、#7、過去の音源のリスナーも納得の選曲の#5、#6とどの曲にも曲展開に”エモ”が溢れており、それでありながらも彼らでしかない唯一さがある。これだけの曲を作り出し、なおかつそのライブは音源を超えるクオリティで、その底力たるや恐ろしい。

 

今のメインストリームでは、新しいことに挑戦するハイブリッド型のJRockがもてはやされがちだが、こういった実直で等身大かつ純粋に”良い”音楽が行われているシーンがもっと大きくなっていくことを願うし、その日が近いことを肌でジリジリと感じさせてくれる。すべての90’sエモとJRockファンへ。

 

荒野 / 別れ

 

指板の海

 

追想と未来

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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