disc reviewインディー・ポップ・パーティにようこそ!

shijun

RockyWonder Villains

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イギリスは北アイルランド、デリーの男女混合4ピース・バンド、(The) Wonder Villainsのデビュー・フルアルバム。デビュー・フルアルバムだが先行シングルはなんと6枚と、ここまで精力的に活動してきたことが伺える。“Party-Pop band”を自称し、その名の通りとびきり楽しいポップソングでリスナーを楽しませてくれる。まあ、パーティと言えどしっとりした曲も結構あったりするのだが、特筆すべきは3分越えの楽曲は12曲中10曲だけ、しっとりした曲も元気な曲も3分半以内に全て終わってしまうと言うところだろう。短い演奏時間に沢山の遊び心と確かなセンスを詰め込み、珠玉のポップスを連打していく姿は、まさに色とりどりの飾りつけと沢山の人で溢れかえるパーティの風景を想起させてくれる。メインボーカルは女性だが、男性メンバーもコーラスや合いの手などでたびたび顔を出す。

 

ディスコ・ポップ風なシンセをバックにキュートに始まる#1。ギターも華やかに鳴り響き、最高に楽しいコーラスワーク、小気味良いリズムも相まって一瞬でパーティに連れ出されてしまう。続く#2はダンサブルなシンセからはじまり、ゆるやかなビートを刻むドラムも相まって思わず体が揺れ出すダンスナンバー。2分ちょっとの曲ながら、徐々に盛り上がっていく前半があり、雰囲気を一変させる間奏があり、再びキャッチーでポップなメロディで締めるラスサビといい、曲構成もコンパクトに完璧だ。#3はキュートにはしゃぐ子供のような声が楽しいポップナンバー。一瞬で耳に残るキャッチーすぎるサビがグッドだ。#4もとびっきり楽しいコーラスワークが楽しめる。”There’s a party out in Japan”という歌詞が気に成るところだが、彼女達は日本に何か思い入れがあったりするんだろうか。#5はスウェディッシュ・ポップ風味のギターポップで、パパパというコーラスラインも楽しい。メジャー期のadvantage Lucyにちょっと近いものを感じる人はいると思う。#6はウィスパーボイスが聞けるおだやかなエレクトロニカっぽい曲で、彼女たちの懐の深さを感じさせる。しっかりと体を包み込んでくれる低音域が気持ちいい。楽しいシンセリフが癖になるパーティ・チューン#9。ラスサビで見られる、オーディエンスと一体になる姿が目に浮かぶような合いの手のようなコーラスワークが最高。#10はギター中心のちょっとだけセンチメンタルなミドルナンバー。思わず体が動く底抜けに楽しい楽曲の合間に、少しほろっとさせてくれる。ラスト#12はアップテンポで楽しく締め、かと思いきやサビで妙にしっとりしだして、最後までこちらを驚かせてくれる。

 

パーティポップバンドを自称しつつも、盛り上げるだけでは無く、ちょっとしっとりとした雰囲気だったり、ほろりと泣ける曲までお手の物だから素晴らしい。そういう楽曲をしっかりこなしてこそ、ハッピーなポップスにも説得力がつくというものである。楽しく華やかなサビを如何に際立て、最高の瞬間にするか、それをかなり高いレベルで実現してしまっているこのバンド。35分程度の短くもハッピーなパーティにあなたも参加してみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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