disc review平均年齢20歳!衝動と技巧で織りなすエモーション
週末を待ちくたびれてSUNNY CAR WASH
宇都宮出身のスリーピースロックバンド、SUNNY CAR WASHの1stアルバム。未確認フェスティバル2017で審査員特別賞を受賞するなど、まだ20歳かそこらの若さながら今全国的に注目を集めているバンドである。直球なエモーションをぶつけるような楽曲で評価を集めている彼らだが、アルバム全体を通して聞いて見ると、音楽的にマニアックなアプローチも志向していたりもするように感じた。
軽快さの中にふわっとした寂しさと切なさを滲ませる#1「キルミー」。わずか二分余りの楽曲に高揚感と寂寞をたっぷりと引き出される作りになっている。時折裏返る声もフラフラしたメロディラインも全てがエモーショナルな#2「ワンルーム」。続く#3「カーステレオ」は雪崩のように押し寄せるギターとメロディラインが一気に心を掴んだかと思えば、そこからテンポチェンジし、メロディアスになったかと思えば絶叫で終わる、94秒の間に詰め込まれためまぐるしい展開に彼らのアーティストとしての意地のようなものが感じられる一曲である。打って変わってミドルテンポで優しげなメロディが聞ける#4「それだけ」。チープでナードな歌唱が楽曲の切なさを倍増させるセンチメンタルな#5「終末を待ちくたびれて」。アルバム中で「殺してくれ」など強いワードをぶちまけてきたからこそ、この曲の弱々しさが一層心に響く。最後はパワーポップっぽい趣も感じるエモーショナルで重厚な#6「ラブソング」。
バックグラウンドにあるであろうやや捻た音楽への憧憬と、若さゆえのストレートなエネルギー、その相反する二つが絶妙な調和を見せている一枚である。本人達は若いって言われるのも多分嫌いそうだなぁ、と言う感じも受けるが、多分今より年を取ったらもっとマニアックな方向に進んで行きたくなる人達なんだろうと音源から感じたので、やっぱり若いうちしか産めないアルバムなんじゃないか、と感じた。兎にも角にも2018年のさらなる躍進に期待が持てるバンドであることは間違いない。ぜひとも一度手に取って見てほしい。天才バンド、初期andymori、my hair is bad、teto辺りが好きな人には特にオススメ。