disc review何処までも深く、救いのない場所で

shijun

Scarlet EP2:54

ロンドン出身のたオルタナティブロック・バンド、2:54のEP。中心メンバーはColette Thurlow(Gt.Vo.)とHannah Thurlow(Gt.)で、名前からも察しが付く通り二人は実の姉妹である。音楽的にはドリームポップ、シューゲイザー、ポストパンクなどの影響を受けた退廃的な曲が特徴であり、非常に暗いアルバムになっている。姉妹揃ってこんなバンドをしているとなると、その家庭環境が心配になってくるレベルで、暗い。

 

表題曲#1は、仄暗い静かなイントロから、ダウナー系ポストパンクの影響を感じる緊張感溢れる重いギターサウンド、さらにアンニュイで哀しい色気のあるボーカルと、いきなり我々聞き手を絶望の淵に突き落としにかかる。サビのねちっこさすら感じる歌声はもはやホラーであり、無機質なリズムが一層それを煽る。続く#2もその世界は継続し、イントロから怪しげな暗いギターがガツンと鳴り、ボーカルも妖艶で悲壮に満ちた歌声でそれに答える。救いを求めるサイレンのようなリードギターがより絶望感を煽る。#3は浮遊感あふれる轟音ギターの中から、嘆きのようなボーカルが顔を出すシューゲイザー寄りの曲。轟音と轟音の間に挟まれる静寂パートがまた絶妙で、気持ちよく絶望感に浸らせてくれる。#4の一分以上あるアウトロではサイケデリックなギターサウンドに酔いしれることができる。

 

Gt.Vo.を務めるColette Thurlowの悲哀に満ちた歌声と、徹底的に盛り上がりを排除した退廃的サウンドの相性は抜群で、抜群すぎるが故に救いが無い。しかしその暗い揺らぎに、深い嘆きと悲しみに、琴線を揺さぶられる人はきっと、沢山いるはずだ。

 

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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