名古屋の男女二人組宅録ユニット、SWIM SWEET UNDER SHALLOWの2014年リリースのフルアルバム。ダウンロード限定シングル３枚（うち１枚は今アルバム未収録）を経て、満を持してリリースされた３年ぶりのフルアルバムである。男女ツインボーカル編成から織りなされる、シューゲイザー、ポストロック、エレクトロニカなどの影響を感じさせるギターポップで、一癖も二癖もあるポップセンスに溢れている。メロディラインは平坦に聞こえる部分も多いが、彼らにしか出せない独特の癖があり、それが絶妙なキャッチーさと掴めなさに繋がっている。

ギターもボーカルもコーラスワークも浮遊感バリバリで、どこかオリエンタルな雰囲気も漂わせる#1、幾度となく挿入されるフレーズが印象的な#2、縦横無尽に走り回るシンセフレーズが楽しげなアルバムでは最もテンション高めの#4、日常と幻想の間をふわふわとしているような#5、間の使い方が印象的なポストロック風味の#6、怪しげな加工ボーカルも顔を出し異世界感漂う#7、踊れるリフが印象的に繰り返される#9など、全体的な雰囲気は統一されていながらも、彼らなりのセンスでしっかり色付けされている。

煌びやかではあれど、華やかではない。熱量は低いが、ネガティブではない。浮遊感はあるが、どこかはっきりともしている。ダンサブルだが、やっぱり熱量は低い。彼らのポップセンスは、非常に不思議なラインを通りながら、心地よく日常と異世界の合間を漂っている。その唯一無二のポップセンスを体感してみたくなった貴方に朗報だ。彼らの公式サイトでは現在、3rd single「Background Music e.p.」を無料配信している。このアルバムの収録曲ではないが、彼らの世界を体感するにはいいきっかけに成るだろう。

SWIM SWEET UNDER SHALLOW公式サイト