disc reviewパンキッシュにチープを鳴らす、珠玉のジャングリー・ギターポップ
CoolThrow That Beat In The Garbagecan!
ドイツのアノラック/ギターポップ・バンド、Throw That Beat In The Garbagecan!の4thアルバム。バンド名の由来はThe B-52’sの楽曲名から。音楽性は悪戯ごころ満載の明るく楽しいギターポップ。合唱なんかもどんどん登場する。時折確信犯的にダサいフレーズが飛び出したりするところが可愛い。ハッとさせるような展開を見せてきたり、楽曲ごとにアレンジに大きな幅があったりと、音楽的な偏差値の高さも感じられる。
キラキラしたギターとへなちょこで愛らしいメロディ、そして幾度となく挟み込まれる「Cool!」のコーラスがダサ楽しい、表題曲#1「Cool」。最高にダサくて可愛いポップなのだが、明け透けに挟み込まれる変な拍子もあったりして一筋縄ではいかない。#2「It’s Never Enough」はノスタルジックな美メロが楽しめるこれまた珠玉のミドルテンポギターポップ……なのだが間奏での突然現れる歪んだリフがやっぱり確信犯的でぐっと引き込んでくる。ベイシティーローラーズあたりを彷彿とさせるベースラインも心地よい。ファニーに歪んだギターと16ビートで弾けるリズムが楽しい#3「Angels Don’t Cry」。メインリフのダサさは健在。アコギとシンセで切なく進む女性ボーカルメインの#4「Over and Over」。後半満を持して登場する歪んだギターがエモーションを掻き立てる。
シンプルなネオアコ、#5「I Just Can’t Hide It」や合唱が楽しいスピーディーな#6「There’s Something」を経て、6分越えの
#7「Deep Inside」へ。このアルバムの中では重めのギターのリフレインがいつになくシリアスなムードを掻き立てる。アウトロのシューゲイザー的なアレンジは多幸感満点。続く#8「Save the way」のイントロの開けた感じもアルバムの流れとして最高。ピアノ弾き語りなレトロポップ#9「 je pense toujours a toi」。人懐っこい感じのボーカルが最高。ローファイフィメールギターポップをしっかりやりきった、#10「A Last Kiss」。パンキッシュさも感じる弾けたジャングリーポップ、#12「Thanks for Knockin’」、舌足らずなボーカル、優雅でチープなホーン、演歌みたいなリフ、「ハァ~ア」のコーラスワークとここに来てめちゃくちゃ脱力系な#13「Too Blue」。最後はハッピーに合唱で締める#14「Housemouse」。
アルバム序盤では曲構成自体に遊び心が感じられる、彼らの悪戯っぽいところが現れた楽曲が配され、後半には楽曲自体がパロディチックであったり、彼らの音楽的な偏差値の高さを見せつけつつ耳当たりの良い楽曲が配された作品であり、通して聴いて楽しい曲順になっている。ぜひ聴いてみてほしい。