disc review休息の時を彩る極上フィメールネオアコ
INDIE POP CAR BABYNelories
フリッパーズ・ギターの登場以降、日本の音楽シーンにはネオアコの風が吹き荒れた。その中でも「東のブリッジ(カジヒデキの所属していたバンド)、西のネロリーズ」とまで称されていたバンド、それがこのNeloriesだ。編成はボーカルとアコーディオンの栗原淳とギターの久保和美の二人。ネオアコ直系のギターをバックに流れるアコーディオンのレトロなサウンド、ただでさえ胸がキュンキュンしてしまう取り合わせに、低めの声質で気だるそうながら何処かあどけなさも残るフィメール・ボーカル。
車のエンジン音で始まる#1。「Indie pop car baby」なんて直球ネーミングすら愛せてしまうのも彼女達の魅力の一つかもしれない。黄色のクラシックカーに乗ってお気に入りアイスクリームを片手に楽しいドライブへ、そんな映画のワンシーンの様な光景が目に浮かぶ。#2「Your Smile」は気だるい雰囲気の中に牧歌的なアコーディオンが染み渡るゆったりとした一曲。上手くはないがとにかく泣けるギターソロも最高。#3「Hell Toupee」はファンク、スカなどのの影響も感じるホーンセクションが現れ、自然に体が揺れ出す軽快な曲。しかしボーカルは気だるさをさらに増し、楽しげというよりは色っぽさを感じる仕上がりである。#4「An Ordinerly Miracle」は森林を思わせるストリングスとチープなアコーディオンの音が意外にもマッチし、一瞬の微睡みのようなゆるやかな時間を我々に与えてくれる。
あまりにマイペースなその雰囲気からか、はたまた単に活動の中心が関西寄りだったからかは分からないが、時期的にも音楽的にも重なる割に渋谷系の言説で語られることが少ない彼女達。しかし、日本におけるネオアコ/ギターポップの成長期を駆け抜けたバンドの一つなのは間違いない。燦然と輝く彼女達の軌跡に、是非触れてみてほしい。