disc reviewクールにエモーショナルを放つ、ダンサブル・ドリームポップ
OUT OF THE BLUE EPYüksen Buyers House
日本のドリームポップバンド、Yüksen Buyers Houseの1st。Ykiki Beatなどと親交があり、今東京のシーンで注目を集めている彼ら。音楽性としては浮遊感たっぷりなドリームポップだが、随所で芯の強いダンサブルさを発揮しており、ダンスミュージックのシーンにも訴求できそうな1枚に仕上がっている。チルウェイヴ的な趣とも言えるか。
ソフィア・コッポラの影響を受けたというリードトラック、#1「Slowdance」。アノラック/ギターポップっぽいキラキラしたギターに浮遊感を漂わせつつもどこか強い芯を感じさせるボーカルが乗る。青春感たっぷりのギターソロも最高。#2「Swim」は打って変わってキラキラしたシンセが曲を引っ張るゆったりとしたダンスナンバー。寄せては返す波のように揺らぎながら重なっていく間奏が完璧で、クールにエモーションを掻き立てる。ポストパンク的な妖しさも醸し出す#3「Runaway」。呪詛のようなボーカルで緊迫感を高めてからの、解放のようにきらめくシンセ。否が応でもアガる。続くは再びインディーポップ的にキラキラしたギターが聞ける#4「The Highway On the Fog」。珍しくアップテンポ気味で、海外ダンス勢への接近も感じ取れる。アウトロの長めのギターソロが心地よい。表題曲、#5「Out of the Blue」はふわふわしたエレクトロニカ。ギターの音色がまたいい味を出している。高めの歌唱力も存分に生かされていると言えるだろう。
浮遊感たっぷりながらインディーポップやポストパンク、エレクトロニカなど様々な音楽の要素を飲み込みつつ、その全てが心地よさに転換されており、最高に聴き心地の良い一枚。2017年最注目と言えるだろう。是非チェックしてほしい。