disc review美しさと虚しさに包まれた、人間味溢れるガールズ・ギターポップ

shijun

poolwaffles

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2001年1月に結成された4ピース・ギターポップバンドwafflesの2003年リリースのミニアルバム。現在は3人で活動中。

女性ボーカルのギターポップで、一見可愛くポップな感じにも聞こえるが、実際はちょっと違う。
Vo.大野の透明感のある歌声は時に優しく時に泣き出しそうな弱さを見せ、それを支える演奏もポップで綺麗な中にも虚しさを感じさせる。
総じて、ふとした瞬間に泣かせて来るような、人の弱いところを抉るような切なさと弱さに塗れている。
そのことからか、この頃は女版スピッツなどと形容されることもあったようだ。

#1は曲名の通り銀河を感じる曲。8分のバッキングギターが緊張感を醸し出していて格好いい。
Vo.は憂い全開で、じわじわと切なさが込みあがってくること請け合い。
続く#2で若干雰囲気が明るくなり、イントロのギターフレーズやパパパというコーラスも楽しい。歌い方もどこかラフで、ちょっと幼さすら感じる。
しかしメロディライン自体は泣きメロで、ラストではシリアスな語りが入るなど、前曲の切なさに胸を打たれた人をさらに打ち付けるには十分。
#3はさらにシリアスなトーンで始まる穏やかな曲。美しさと虚しさが混じりあったサビのメロディは必聴。
#4は一分弱の小物曲。笛の音が入っているのがまた可愛い。歌詞も希望に満ちた終わり方で、このアルバムでは一番明るい曲だろう。
#5は「さよならわたし 君の新しさにはなれない」という言葉からはじまる、印象的な歌詞が特徴。
サビは叫ぶまでは行かないが感情を絞り出すような歌い方で、緊張感を煽る歪んだギターも相まって締め付けられるような思いさえ覚える。
#6はゆったりとはじまるが段々とピアノのバッキングが目立ち始めエモーショナルに盛り上がっていき、サビでは優しくなる。その絶妙な緩急がまた泣ける。

ギターポップにおいて、ボーカルの存在はしばしばアイコンとして扱われることがあるが、wafflesはそうではない。
あくまで一人の人間の持つ憂いや優しさ、感情を、一つのポップスとして昇華させているのである。
ともすれば壊れてしまいそうな弱弱しさを見せながら、それでもあくまでギターポップであろうとする、
このバランス感覚が生んだ奇跡を、是非とも体験してほしい。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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