disc review壮大さと神秘さに満ち溢れた宇宙に、優しく包まれる感覚

shijun

prismatic telescopeシキサイパズル

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東京を中心に活動する4人組バンド、シキサイパズルの1st mini albumにして初の全国流通盤。

シューゲイザーの中でもキラキラした部分だけを切り取った様な浮遊感満載のギターに、
時にゆったり時に激しくビートを刻むドラムが壮大さを作り上げている。
Vo.は女性で、あえて簡単に説明すれば相対性理論的な浮遊感のある声だが、
声の伸ばし方などにはどこか温かみも感じられる。
エレクトロの影響を感じる打ち込み要素は主役ではないが、神秘的な響きで曲に彩りを添えている。

オルゴールのような打ち込みから始まり、強固なビートを刻むイントロが曲だけでなくアルバム全体の始まりを意識させる#1から、
早速このシキサイパズルが只者ではないことを感じることができるだろう。
壮大な世界の広がりを感じるシンセをバックに、どこまでもキラキラしたギターや打ち込みの音が、
聴くものをまるで神秘的な大宇宙を漂っているかのような感覚に陥らせる。
基本アップテンポながらもどこか優雅さを感じさせるリードトラック#2や、
コーラスの打ち込みが神秘的でどこかharuka nakamuraを彷彿とさせる雰囲気を持ったはじまりから轟音に繋がる#5など、
どの曲も、今我々が生きている世界とは遠く離れたどこかに連れて行ってくれる。
しかし歌メロはメロディアスかつ、時にノスタルジックさを掻き毟るメロディで、壮大で神秘的な曲中でもどこか寄り添うような雰囲気を出している。
前述の通り、一見無機質な中にもどこか暖かみのある歌い方も、その一助になっているだろう。
特に#7は、ピアノのバッキングにノスタルジーをさらに増したメロディと、もはや母性すら感じる名曲だ。

ミニアルバムということで曲数は少ないが、どの曲も4分以上あり、展開も工夫が多く聞きごたえは十分だ。
40分程度の逃避行に、あなたも出かけてみてはいかがだろうか。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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