disc review鉄血のジャンクソング、矢の雨に旗を掲げ立つ

tomohiro

JUNKHEADPLAY DEAD SEASON

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先日のthe north endにつづいて、SAY HELLO TO NEVERリリースからのレビュー。東京発4人組ジャンク・ハードコアパンクバンド、PLAY DEAD SEASONの1stフルレングス。日本人離れした硬質でドライヴ感に溢れる佇まいは、Drive Like Jehuに代表されるようなDCハードコア、並びにRescueのようなそれらのフォロワーの流れを組む。また、その粗暴で吐き捨てるようにして歌うボーカルスタイルにはCOWPERSbloodthirsty butchersなど、ジャパニーズオルタナ、パンクの影が色濃く落ちる。

同じくSAY HELLO TO NEVERからのリリースであった、静カニ潜ム日々(現 SZKN)とのスプリットCDや、stiffslackよりリリースされた、テキサスのハードコアライク・エモバンドPswingsetとスプリット7inchのリリースを経ての、満を持しての単独音源となる。余談となるが、Pswingsetというバンドは、そのバンド名を前述のRescueの”Volume Plus Volume”というアルバムのトラック名から拝借していると語っており、その点においても、ルーツを共有していると言える。(最も、PLAY DEAD SEASONとRescueの関係においてはこちらが聴いた上での感想であり、本人たちの談ではないのだが。)

 

左右のギターともに、チョーキングを多用した、ミドルテンポ寄りの不協和的ジャンクサウンドな楽曲を得意とし、攻撃的な曲名が並ぶ字面そのままの剥き出しの切れ味を持ったサウンドをして、リスナーの耳へと襲い掛かる。冒頭からハイテンションに地を揺らすドラミングとともに、「酸欠になるまで叫べ」と歌うサブリミナルソング、#1 “瞬間と循環”を経て、ひどく歪んだザラつくベースに荒縄を締め上げるようなギタープレイの絡む#2 “SCAPEGOAT”、ミドルテンポとフィードバックで不穏に楽曲を展開し、アンチエスタブリッシュメントに叫ぶ#5 “キチガイ法権”、途中に挿入される読経的趣を見せるシンガロングが、飛び交う不協和フレーズとともに不穏な雰囲気を煽る#9 “Kill・I・P”、そして何と言ってもアルバムの最後を飾る#11 “鉄の歌を聴け”はPLAY DEAD SEASONの節が存分にねじ込まれたジャンクソングだ。

基本的に一本気な骨太のサウンドを鳴らしながらも、時として変拍子を用いるなどして、楽曲に小気味良い高低差を与えているバランス感が秀逸である。また、ジャケットのデザインも非常にイルでドープ、ジャンキーであり、よくバンドの内面性を表している。

脳ミソの血管をブチ切りたくなるような時に聴こう。

 

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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