disc reviewあの日の走馬灯が胸を焦がす、レトロフューチャーダンスミュージック

Jutsu EPマクロスMACROSS 82-99
Vaporwave/Future Funkなどと呼ばれるジャンルのトラックメイカー、マクロスMACROSS 82-99のミニアルバム。ガンダムやカードキャプターさくらの楽曲からStone Temple Pilotsまで色々なジャンルの楽曲からネタを引っ張ってきつつ、どこか懐かしくでも確実に新しいダンスミュージックを形成している。マニアックなジャンルであるが、元ネタにファンクやディスコ寄りのポップミュージックを持ってきているのでポップに楽しめる側面もあると思う。
いきなりバブリーなJ-POPのカラオケトラックと見紛うようなサウンドが飛び出す#1「ミュン・ファンローン」。無機質で強力なビートがそこに筋を通す。ファンキーな80’sJ-POPと思われる元ネタ(筆者には曲名がわからず)を大胆にボーカルごとサンプリングした#2「Jutsu」。どこか懐かしい楽曲が大胆にダンスミュージックとして再構築されている。#3「Dying To Tell You This」は打って変わってシンセのホーリーなフレーズに抑えめのビートがの乗るChillな小物インスト。#4「『82.99 AM』」はまるでAMラジオの周波数を変えているような目まぐるしいエフェクトの変化に面食らうものの、バキバキのホーンがこれまた懐かしいファンキーな四つ打ちダンスミュージックに仕上がっている。SHAMBARA「Solid Dance」にバキバキのビートとちょっとクレイジーなエフェクトでクールなダンスビートに生まれ変わらせた#5「Idol Talk Pt.Ⅱ (w コンシャスTHOUGHTS)」。原曲の美味しい部分はそのままにまったく違った聴き味になっているのが面白い。#6「術Even After Dark」は不穏なインスト 。#7「Meet Me At Farhamption Station」はフュージョン風のギターをフィーチャーしたアウトロっぽい曲になっている。
移り変わりの早いインターネットミュージックの中ではすでに下火となりつつあるジャンルではあるが、このレトロフューチャーな感じが響く人はきっと多いのではないかと思う。古き良き時代に想いを馳せながらビートに体を委ねてみるのも面白いだろう。Bandcampでname your price。
https://macross82-99.bandcamp.com/