disc review雑音、騒音? 「No! We play music!!」

tomohiro

Waited Up Til It Was LightJohnny Foreigner

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イギリスの4人組男女混声オルタナティブロックバンド、Johnny Foreignerのキャリア2枚目のアルバム。昨年は”Mono No Aware”と題した新作を日本先行でリリースし、5年ぶりの来日公演も果たした日本と浅からぬ縁もうかがえるバンドだ。音楽性として下敷きにあるのは、ポップパンク、メロディックパンク的なドライブ感とストレートで映えるメロディと下手くそな歌、そしてポスト/マスロック、エモ周辺の軽やかなフレージングと変拍子の使い方。全体を通じてUSっぽい雰囲気が漂うのだが、若干の憂いと戸惑いを感じる内向的なボーカルワークが出てくるあたり、イギリスのバンドである。キャッチーでオルタナティブなブレンド感は、Tubelordをはじめとするマスポップ界隈とのリンク性も強く、年代的にも重なる部分は多い。ちなみに彼らのアメリカ初ライブにはLos Campesinos!も出演しており、ノイズポップと呼ばれることもある彼らの音楽性は、インディーポップの方面とも親和性があるようだ。(のちのUSツアーでもLos Campesinos!は帯同しているようだ)

この手の楽しい系ショートチューンパンクバンドはとにかく手が早いイメージを持つが、そんな彼らも例に漏れず、2005年の結成からすでにアルバム・EP合わせて10枚以上というなかなかの多作バンドである。

そしてまたこれも例に漏れず、どのアルバムを聴いてもほぼ同じである。(昔っからずっと同じクオリティのドライブ感とメロディワークをキープし続けているのは恐ろしいことだ。)初作のアルバムはセルフリリースでおそらく手に入れるのは難しく、また彼らの一つの特徴である男女混声の掛け合いが聞けるのはこのアルバム以降であるので、今回は彼らの初めての一枚としてこのアルバムをレビューすることにする。

#1 “Lea Room”はうんざりするくらいずっと裏でなってるシンセフレーズをひたすらに2人のボーカルが掛け合いながらなぞり続けるし、ギターはなんかノイズ出ててうるさいし、まさに彼ららしいハッピーポップパンクソングだ。#2 “Our Bipolar Friends”はBa/Vo. Kellyの歌唱から始まるしっとり系ソングかと思いきや、ご安心を。エモリヴァイバル系の指板を泳ぐ見事なギターワークとともに安定感のあるメロディックナンバーが始まる。#4 “Cranes and Cranes and Cranes and Cranes”はコロコロ顔色を変える他展開と突然のファズ、合唱、絶叫で休む間もないジェットコースターのようだ。#6 “Henning’s Favorite”なんかは若干スリリングな色も漂っており、開放弦はさみ系単音リフと合わせてマスポップ的な綱渡り感を味わえるトラックだ。一方で#9 “Dj’s Get Doubts”などではウインドチャイム、ストリングスにアコースティックギターでリラクゼーショナルに歌い上げており、なんでもできるんだぜという器用さの一端をグイグイ出してくる。そして#13 “The Hidden Song at the End of the Record”で終わるこのアルバムだが、なんともタイトルが胸にくるではないか。隠しトラックってエモいよねみたいな歌詞を歌いながら(多分)楽曲後半はずっとワンフレーズの合唱。実に様式美的で素敵じゃなかろうか。最後に好き放題はっちゃけるヤツとか。

全部のアルバムを追う必要があるかは疑問だが、1枚くらいは聞いておいてほしいバンドである。疲れた時とかに良く効くので。

 

「じゃあ次はエモい切ない感じのやつ作ろうぜ!」と言わんばかりの清涼感である。

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tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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