disc review閉塞の狭間で揺らぐ、無明長夜の考思

shijun

青いブルーRECO.

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東京を中心に活動していた男女混成ツインボーカルバンド、RECO.のシングル。自らのジャンルを「夜空」と形容しており、夜を思わせるダウナーな雰囲気の中で、星の煌めきの様に輝くツインギターの絡みが印象的である。男性ボーカルはアンニュイかつハイトーン気味であり、透明感のある女性ボーカルとの相性はなかなか。SCARLETやCONDOR44(44th music)などの日本のツインボーカルオルタナあたりにも似たボーカルワークと言えるだろうか。

雄大でありながら、閉塞感と隣り合わせでもある夜空を描ききったようなサビメロが印象的な#1「青いブルー」。Aメロは淡々としたメロディながらも曲が進むにつれて徐々にエモーショナルさを増していき、深くなる夜を現しているかのようである。#2「月とハイウェイ」は無感情気味な女性ボーカルと、エモーショナルな男性ボーカルの対比が美しい。テンポ感を落として叩きつけるような轟音が鳴り響く間奏にもハッとさせられる。#3「水銀灯のワルツ」ではダウナーな雰囲気はそのままにシンプルに跳ねるドラムが登場し、異世界のダンスミュージックを聞いているような気分になる。#1同様徐々に盛り上がる構成もシンプルながらエモーショナル。

惜しくも2013年に解散してしまったRECO.だが、ダウナー系ジャパオルタナの文法に乗っかりつつ、ツインギターの絡みやボーカルワーク等独自の手法をしっかり確立していたことが十二分に伝わってくる良盤である。現在では入手が難しいようだが、見かけたら是非とも手に取ってみてほしい。

WRITER

shijun

ポップな曲と泣ける曲は正義です。female vocalが特に好きです。たまに音楽系のNAVERまとめを作ってます。なんでも食べます。

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