disc reviewcllctv.企画 Internal Meeting vol.1に寄せて(その2)

tomohiro

Primacasata

primacasata

東京、ポストハードコアバンド、Primacasata。ポストハードコアという言葉はいわゆる残響系以降でかなり市民権を得ており、カジュアルに歌モノのエッセンスとして取り入れられるようになったなーという感想ですが、彼らはよりハードコアとして先代に位置する、激情系と呼ばれる音楽の血を脈々と受け継ぐ音楽であると言えます。

そんな演奏に潜む完璧な激情への憧憬を、笑ってしまうほど明朗で健やかでエモーショナルな歌声が包み込んだ結果、 Primacasataはまさに万人が受け入れうる、まっすぐな力を持った音楽へと至ったのだと思います。まさに、”ポスト”ハードコアと呼ぶにふさわしい。

なので、ジャンルという枠を飛び越えた先で、そのまっすぐな音楽を届けてほしいと思い、今回出演をお願いしました。

 

僕が彼らと出会ったのは多分5年くらい前で、友人がはるばる東京から自分の地元三重県に彼らを呼んだ、という時でした。僕は後述するジャズマスターが鳴った後にを見に行くためにそのライブに行っており、そこで受けたあまりの衝撃に客ながら打ち上げでたくさん話をさせてもらい、それが今日に至るまでの繋がりのきっかけとなりました。熱量が熱量を繋いでくれた好例と言えるでしょう。上の動画は、そんな彼らの力を借りて京都のバンドGueのレコ発を名古屋でやった時のものです。

そしてこれが体制を変更し、ライブ活動を再開した1本目のライブ。彼らにはいつも近いところに人の笑顔があふれている。ハードコアなのに不思議なバンドとは思いませんか?それは体感したら納得できると思います。

 

ジャズマスターが鳴った後に

jazzgo

「愛知県岡崎市からやってきました」とは彼らの常の枕詞であった。ローカルから自分たちが持っている根元の衝動や感受性を描き出し、発信する。そんなオルタナティブを真心で描き出していた彼らは、数年前に活動休止。メンバーそれぞれがより深く自分を映し出す場所として音楽を続け、それらはスーベニア、sitaqとして、円熟を迎えつつある。そんな彼らの原点を、そろそろまたみんなで見たいな、というのが彼らを誘ったきっかけでした。

 

まさかとは思いましたが、彼らは再び動き出してくれました。2014年、初めて自分のバンドでイベントをした時、頑張って県外の尊敬していたバンドを呼びました。そこに地元からぶつかるために誰を頼るのか、となった時に思い当たったのが、まだライブを始めて間もない彼らでした。それぐらい彼らの音楽には当時から光る純粋さがあったのです。和田、朝倉という二人が今持っている自分のインターナル=スーベニア、sitaqを携えて、再びこの音楽を発する、というその眩しさをぜひ、目撃してください。こんなことを言うのは若干浅はかではありますが、事実、次いつ東京で見られるかわからないので、絶対に見てほしいんです。

 

よく考えたら、cllctv.としての初めての企画でも彼らの力を借りていました。また新しいことを始めるのに力を借りられるのを本当に嬉しく思います。

 

corner of kanto

cornerofkanto

東京で最も辺境に位置するであろう音楽をひたすらストイックに鳴らす開拓者たるバンド、corner of kantoです。昨年の春先に彼らからコンタクトを受けたきっかけで出会い、cllctv.でもインタビューを敢行しました。彼らはまさに東京に来てからのcllctv.を象徴する出会いで、それゆえにこのイベントには必ず出て欲しかった。tortoise、SLINTに代表されるポストロック黎明期の熱量と緊張感を20年冷凍保存させて、今の世の中で再構築させたような、鬼気迫る音楽を放つのが彼らです。

 

彼らの音楽はフロンティア的であるゆえに、まっすぐに届く類のものではない、とは思います。ただ、スパイスカレーを食べたらじんわりと汗が滲むように、サウナで少しずつ汗が垂れてくるように、彼らの音楽が内包するちょっと想像を絶する熱量がライブを通じて少しずつ聞き手の高揚感に作用し、気づけば感情が溢れ出る。そういうちょっと味わえないような体験ができるのが彼らのライブです。

 

一音一音に執拗に向かい合う、彼らの手に汗握るライブは、一度体験すればそのコクに気づくはず。これを発信すべきは知ってしまったものの使命なのです。見るしかない。

 

周 from 神様クラブ

amane

アーティスト写真のようなものないかいと聞いたらこれが送られてきました。東京にてポストインターネット、脱サーバ的クラウドポップとも呼んでしまえる新世代ポップを夜な夜な挙行する神様クラブより、周くんが当日の転換DJとして参加してくれます。

 

彼らの一聴して落としどころが見つからない奇天烈なポップソングは、膨大な音楽のバックグラウンドに支えられています。日夜世界中の音楽をクラウドを駆け巡り収集し、こねくり回してトラックを作り出す周くんの、そのバックグラウンドを惜しげもなく発揮する、未開のグッドミュージック連発のDJは当然好評で、猫を堕ろすのツアーについていった名古屋、東京で彼の選曲に完全に舌を巻いてしまいました。

そんなわけで、いつもだったらイベントのBGMは自分で選曲するんですが、彼に任せたらライブがもっと楽しくなる確信を得てしまい、今回お願いした次第です。転換BGMってなんとなく空気のように馴染んでしまいがちですが、当日の現場はshazamが終始飛び交う貪欲な転換タイムが生まれるはず。予断なく楽しみましょう。

 

というわけで、なんやかんやそれなりの文字数を使って紹介してきました、cllctv.企画 Internal Meeting。あの手この手を使って、「ただのライブイベントで終わらせたくない」楽しさをたくさん用意するので、ぜひ、ぜひとも遊びに来てください。@cllctv_jp、もしくはcllctv.rvw@gmail.comなどなど、あらゆる手段でチケットの予約をお待ちしています。

flyer

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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