disc reviewmail interview cllctv. meets PRIMACASATA
価値観や感性が変わっていっても残るものを作るのが目標
Tomohiro PRIMACASATAの音楽を作り上げていくにあたって、影響を受けたモノを教えてください。
村上 ギターだとheaven in her armsとkillieのドラマチックなフレーズに憧れているので、その影響を受けてます。
Tomohiro いわゆる、激情系ハードコアと言われる音楽ですね。僕もこう言った音楽がすごく好きで、彼らだけが描き出せる叙情的でパワフルな音楽には強い憧れがあります。とはいえ、ハードコアという若干尖った音楽って、なかなか普段の生活で耳にすることが少ないように思います。
激情系ハードコアとの出会いはどういったきっかけだったんでしょうか?そこに何かエピソードなどもあれば聞かせてください。
村上 前のバンド(Asleep the clone)で、僕じゃないもう1人のギターから3cmtourを教えてもらって、それまでenvyとかheaven in her armsみたいな音の激情しか聞いて無かったのですごい衝撃で、意識してバンドを探したり聴き漁り始めたのはそこからですね。
Tomohiro 3cmtour!僕も初めて聞いた時はかなり衝撃を受けました。彼らには初期のThursdayやさらに辿ってポストロック初期のようなスリリングさやアブなさがあるように思います。衝動というか、何かしらシンプルな感情を飾らずにさらけ出すような。ある意味「激情」という言葉において非常に直喩的な音楽かもしれませんね。いつでもエネルギーに満ちていて、直情的に見る側をぐいぐい引き込んでいくプリマのライブには、激情の血がしっかり根付いているのを感じます。
村上 あと、全体的にはポップス好きなので、どのジャンルにいても聞きやすいものでありたいと思ってます。
Tomohiro ”聴きやすさ”は、ハードコアを下地にしながらも、その枠にとどまらない普遍性を感じさせるPRIMACASATAの重要な要素だと感じます。今まで聞いてきたどんなポップスのどんな部分が、PRIMACASATAの作曲に影響していると思いますか?
村上 そもそもではあるんですが、時間が経っても聞いていられる音楽であって欲しいと思ってます、そうなれているかわからないですけど。趣味が変わって聞かなくなるジャンルもある中で、久しぶりに聞いても懐かしいけどいいじゃんって感じて欲しいなって。
Tomohiro 僕もこの何年かで聴くものも大きく変わっていって、昔すごく聴き込んでいたジャンルにあまり関心がなくなったりして。でもいまだにアジカンの”君の街まで”とか、Janne Da Arcの”HEAVEN”とか、オールタイムでベストな音楽はあるんですよね。何がそうさせるのかの言語化はすごく難しいんですけど、不朽なメロディやフレーズは確かにあるように思います。そういうのがポップだと言われたりするのかも。
村上 20年前の曲でもミスチルとか宇多田ヒカルとか聞くとめちゃくちゃカッコいいなって感じるじゃないですか。価値観や感性が変わっていっても残るものを作るのが目標です。
Tomohiro 実は、PRIMACASATAの曲は、いまだに思い出したように1stとかを聴くこともあって。まさに今話してもらったような、まあささんの目指す音楽の形が、僕の中では達成されているんですね。PRIMACASATAは、初めてライブで見た時から、まっすぐに届いて心に残るような芯の強さがありました。それは、メロディの強さだと思っていて、まさにポップスとしての不朽さだったのかなと。その当時僕が激情を好んで聞いていたからこそ、最初に耳に止まったのは事実ですが、「残るものを作る」ことへの情熱はしっかりと実を結び、届くべき人に届いていると思います。
Tomohiro 最近は何を聴くことが多いですか?直近聴いた、影響を受けたような音楽があれば教えてください。
村上 最近はサカナクション聞いてました、去年出したアルバム聞きましたか?ああいう作品を作りたいですね。
昨年だと中村佳穂と羊文学も沢山聞いたと思います。
Tomohiro サカナクション!あれは確かにポップスを追求する現行のバンドとして最高峰の一角ですね。それでいて、根底のオルタナティブさはずっとエッセンスとしてあるのがさすがだなと思います。中村佳穂は去年フジロックで見たのですが、見えているものの広さが圧巻だった記憶があります。聞いてはみたものの直近のものだけ並べると、プリマとの直接のつながりは見えにくいですね。
村上 良い曲聞いて刺激になって曲作ろうっていうモチベーションにはなるんですけど、あんまり特定の何か影響受けたとは思わないです。
でも海の向こうでのアウトロギターはレッチリのwet sandのオマージュなのでレッチリからは影響受けたかな笑
Tomohiro ヒントを得るというよりも、やるぞ、というエネルギーをもらう感覚なんでしょうね。確かに良い創作物に触れると、自分も頑張らなきゃなー!という気持ちになりますよね。実は今回のインタビューも、cllctv.としてInternal Meetingを主催して、そこに生まれたエネルギーに後押ししてもらったからこそ踏み切れたんです。
レッチリ!言われて聴いてなるほどでした 笑 ジョン・フルシアンテはもはやジャンルを問わない憧れですよね。