disc reviewへそ曲がりによる9つの世間話たち

tomohiro

9つの妄想mimic#9

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九州は福岡のマス的歌モノバンド、mimic#9の自主制作による1stフルアルバム。主にそれまでに出された自主制作音源の総まとめであり、ある種のディスコグラフィー的要素も強い。ハード面にも彼らのこだわりが見られ、価格は999円、9曲入りと9にちなんだものであり、ジャケットもプラスチックのケースではなく、ペイズリーの布で包まれている。この辺りに見せるこだわり、もといへそ曲がりさは、勿論その楽曲たちにも存分に表れており、変拍子、ポリリズム、展開の変化など、様々な方法を使ってVo/Gt. 長本の脳内をざわめかせる妄想たちを形にしている。また、それらのへそ曲がり要素をポップへと昇華してなお余りあるあるのが、ボーカルの正当な”上手さ”とメロディーのわかりやすさ、キャッチーさと言えるだろう。どこまでも伸びやかに響き続けるハイトーン寄りの声は、芯がしっかりしており音程が全くぶれない。本人がいかに気持ちよく歌っているかが手に取るようにわかり、まさに”気持ちのいい”声だ。歌メロも、サビで曲名とうまく絡めてくる歌詞が相まってとても自然に耳に残る秀逸さだ。僕自身、「あ、この曲名だとこのサビの曲だな。」というコメントが自然に口から出てしまうほど、そのクオリティは高い。

イントロのドラムとのポリリズムが気持ち悪くて気持ちいい、自分の世界の”おはよう”と”さよなら”を繰り返す#2、女性のゲストボーカルを迎え、”僕”と”君”とのリズムのズレを二人の歌声を重ねることで表現する#6、世界の終わりを目前に、それでも歌い続けるアルバム屈指に涙腺を攻める#8など、アルバムを通して歌詞の主題はネガティブなものが多いが、それをあたかも世間話のように聴く人の脳内に投げ込むポップさ、キャッチーさに癖になることは請け負いだ。

同じく福岡のインストバンド、”如何に崇高な精神といえども、顔面が伴わなければ『彼女』はできない。”などとともに、福岡のライブハウスシーンにおいて活動を続けていたが、現在その活動は休止中(?)なようである。

グモニン

それどころじゃない

猶予はあと2日

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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