disc review雪化粧の森の奥、静まり返り、日は暮れても、窓に灯は入る

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ひみつのおはなしmiiiia

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愛知県は名古屋で活動するシューゲイジング・ドリームポップデュオ、miiiiaの1stミニアルバム。リリースは、ポストロック、ポストハードコア等を中心に広い見識を持つ竹山氏率いるunison heART classic/LANDFALL DESIGNから。スローテンポの心地よいリズムトラックに、きらびやかな装飾音、耳の奥の深いところで鳴っているような輪郭と角を落としたノイズギターと優しい女性ボーカルの歌が微睡みを誘う。

 

名古屋で活動するバンドに挙げられる特徴として、どのバンドも名古屋特有というか、単一ジャンルの純粋さではなく、多ジャンル複合型いいとこ取りの、カテゴライズが難しい音楽を持ち味としているように思う。それは、一言で言ってしまえばごった煮とも言えるようなもので、最近全国的に知名度を高めてきているビレッジマンズストアミソッカスといったバンドは、まさにこういった名古屋シーンの代表的なバンドと言えるだろう。シューゲイザーシーン周辺のバンドにおいても、それは例外ではなく、以前このサイトでも紹介したAysulaは、とめどない轟音と叙情的ですらあるメロディアスなボーカルを見事に調和させ、独自のヒリヒリとした世界観を作り上げた。また、歌謡シューゲイザーをうたう溶けない名前も、シューゲイザーサウンドを基調としながらも、どこかチープなシンセ音やボーカルと独特の童話的で退廃的な歌詞を組み合わせることで、彼らでしかないシューゲイザーをやってのけた。

 

miiiiaにおいても、同じことが言え、トラックやギターの音だけを聞くならば、mumsigur rós等の北欧ポストロック・エレクトロニカからの影響は瞭然である。しかし、そこに日本語詞の優しいメロディラインを乗せた時、日本語の持つ柔らかな響きと相まって、新しい感覚が与えられる。

煌びやかで子守唄のような楽曲は、しんしんと雪降る窓の外を眺めながらでも、白一色の森の中に佇んでいても、雪の舞う街を歩いていても、緩やかに明滅を繰り返す電飾のような穏やかな温かさを心に与えてくれるだろう。冷たいのに温かい。対称的なふたつのファクターが見事に溶け合う、幻想的な作品だ。

 

電飾を用いたライブでの佇まいも非常に陶酔的であり、また、ライブでは音源以上の包まれるような轟音を体験出来る。つい最近、来年1月をもっての活動休止がアナウンスされてしまったので、名古屋近辺のシューゲイザー、ドリームポップのリスナーは逃すことなく、現状最後のライブを見届けてほしい。

 

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