disc reviewinterview corner of kanto meets cllctv.

tomohiro

“僕が音楽で表現したい根底ってこれなんですよ。「音楽ファンタジーゆめ」が本当に僕のすべてに影響を与えてて。 -矢部”


 

Tomohiro:さて、話がそれてしまいましたね。次の質問をいいですか。

corner of kantoの楽曲は、メンバーそれぞれの音楽的志向が複雑に入り組んだ構成が魅力だと思いますが。メンバーの皆さんの聞いてきた音楽の遍歴はどういったものでしょうか。

 

矢部:そういう複雑な音楽をやってきたからライブのブッキングとかも、毎回スタッフの人を困らせちゃってて。ポストハードコア…とか歪んだオルタナとかといっしょにやることが多くて、あんまり特定の界隈とかバンドとかはないんだけど、そんな中でもロクトシチとはすごく仲良くさせてもらってます。

 

成塚:メンバーがいろんなジャンルを経てできたバンドだから、オルタナなイベントとかに呼んでもらえると、そのいろんな要素を対バンの人たちに拾ってもらえて。そのおかげで最近はライブでもいろんなバンドと話が出来るようになりましたね。

 

矢部:音楽の遍歴の話なんですけど。僕、5歳くらいからピアノをやってて。音楽の原点がクラシックとか、楽典とか。そういう分析をするような要素なんです。それが小学校六年生ぐらいまでだったんですけど。その頃に親の勧めでツェッペリンとイーグルスを聴き始めたんですよ。

 

Tomohiro、成塚:おお 笑。

 

Tomohiro:とんでもなく正典だ。

 

矢部:それで邦楽も、スピッツ、ピロウズ、椎名林檎とミスチルとか聴いてて。中学の頃はプログレにはまったりしながらも、高校でPeople In The Boxに出会ったんです。これは成塚も共通のバックグラウンドなんですけど。”Family Record”っていうマジで最高のアルバムがあって。

 

Tomohiro:分かります。僕も一番好きなんですよ、”Family Record”。あ、新譜聴きました?僕あれは続・Family Recordだと思ってるんですけど。

 

矢部、成塚:ああ~~ 笑。

 

矢部:すごいわかる 笑。

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矢部:それでピープルを通じて、インディーと呼ばれるものに触れるようになって。ピロウズの流れからピクシーズに進んで、当然レディへにはまるんですよね。”OK Computer”はすごいアルバムだなって思ってて。

で、それとは別にポストロックにもはまっていって。tortoiseが僕すごい好きで。なんだろう、バックグラウンドのほとんどは高校生の時点で完成した気がしてますね。

Tomohiro:早熟な高校生だな…。

 

矢部:一方で、好きなジャンルを聴いてるのとそれを自分で表現するのとは違うなってことにも気づきました。ただ聴いてても自分から出せるようにはなれないというか、すぐにはできない。

僕のバックグラウンドはこんな感じですね。お前はどうだい?

 

成塚:急だな 笑。

 

成塚:僕は、音楽を始めるきっかけは、ありきたりなんですけど、バンプだったんですよ。それが小学校高学年頃で。このきっかけでギターも買って。一年ぐらいはバンプばっかり聴いてたんですけど、洋楽に目を向けるきっかけがそのあとあって。

 

Tomohiro:おぉ、なんだったんでしょう。

 

成塚:Fender Japanのカタログを読んでたら、『BECK』って漫画分かります?あれの主人公のシグネチャーモデルが載ってて。あ、なんかこの漫画面白そうだなと。で、あの漫画は作者のハロルド作石さんがすごい音楽好きで。BECKを通じて洋楽に傾倒していった感じですね。

 

矢部:そんな青春みたいな話知らなかったんだけど 笑。

 

成塚:それで洋楽を中学校の頃に聞き始めて、最初の頃にジミヘンとか聴くんですよ。全然わからないじゃないですか。

 

Tomohiro:僕はいまでもわからない。

 

成塚:笑 そんな感じで色々聞いていく中で初めてドはまりしたのが、NIRVANAだったんですよ。

 

Tomohiro:おぉー、なるほど。

 

成塚:そのNIRVANAがきっかけで、グランジとかオルタナを聴くようになったんですけど。その頃は邦楽から少し離れてたんですよ。邦楽に戻るきっかけになったのがART-SCHOOLで。それ以降は邦楽に少し飽きたら洋楽に行って、でまた邦楽に行ってな感じでしたね。

そのあとはアートの影響でシューゲにはまって、その中でもSlowdiveとかがすごく好きだったから、そこからの流れでシガーロスとか、ムームとか、日本だとSerphみたいなエレクトロニカとか、アンビエントな要素に惹かれ始めて。それが高校の終わり頃だったので、それから今に至るっていう感じですね

Tomohiro:二人とも、なかなか濃い音楽遍歴ですね。僕はそもそも洋楽に触れたのが大学になってからだから、なんだか新鮮に聴こえます。田舎でいろんな音楽に触れる機会もなくて、中学校の頃とか、学校の放送はエグザイルしか流れてなかったから 笑。

 

矢部:すごいわかる。

 

成塚:僕も田舎だったから、音楽は一生懸命自分で掘るしかなくて。そんな中でたくさんの音楽に出会ってこれた感じはありますね。

 

矢部:今思うと、例えばthe cabsとかピープルみたいな残響系って、すごくしっかりポストロックとかへの導入を作ってくれてたんだなって。彼らから洋楽に入っていった人も多いだろうし。

 

Tomohiro:僕とかまさにそうだったな。

 

矢部:ああ、そうだ。そういうバックグラウンドの話だと、BOaTの『RORO』ってアルバムが僕本当に好きで。邦楽の中で一番いいんじゃないかと思ってて、本当に。今回のベスト3枚の中に入れようかすごく迷ったんですけど、一番出会うのが遅かったから。

 

Tomohiro:それはぜひ入れましょう、4番目に。正直3枚とは言ったものの難しいかなって気持ちもあったんです。

 

成塚:3枚って言われると結構シビアだなって 笑。だから人生の節目節目をすごく意識して選んだんですけど。

 

矢部:そうだ!!本当に影響を受けたといえばという話があるんですけど。NHKの教育番組で、『音楽ファンタジーゆめ』っていう番組があって。ちょうど90年代くらいに放映してたと思うんですけど。

 

Tomohiro:NHKですか(なんだか雲行きが怪しくなってきたな)。

 

矢部:この番組がすごい、やばくて。クラシックとかの名曲をPortisheadみたいな音色にアレンジしたりとか。

 

Tomohiro:それはめちゃくちゃ気色悪い番組だなぁ 笑。

 

一同:笑

 

矢部:それで、CGも当時の最先端を使っていて。映像もやばくて。本当にやばいとしか言えないんですけど。何かあるかな。

あ、この”タイスの瞑想曲”とか。

Tomohiro:(なんだこれは。)

 

矢部:世界観が異常なんですよこれ、本当。なんか岩とか飛んでるし。

 

Tomohiro:(なんだろう、これは。)

 

矢部:音楽もめっちゃいいし。これ2分間で終わっちゃうんですけど…。

 

Tomohiro:(すごい名残惜しそう。)

 

成塚:…。

 

矢部:本当に、僕が音楽で表現したい根底ってこれなんですよ。「音楽ファンタジーゆめ」が本当に僕のすべてに影響を与えてて。本当日本人全員見てほしい。

 

Tomohiro:なんかすごい話になってきましたね… 笑。なんかさっきの”タイスの瞑想曲”を聴いてて思ったんですけど、corner of kantoのメロディの一部になんだか似てるような部分があって。”私たちの伴奏曲”かな。

 

矢部:それはあるかもしれません。さっきも話したんですが、僕自身の音楽の源流がクラシックなんで、メロディを乗せるときにもそういう要素が反映されているのかも。

 

Tomohiro:ちょうど作曲の話題になったところで、次の質問に移るとしましょうか。

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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