disc review生き抜け!フジロック〜ここをキャンプ地とする〜

tomohiro

最終日、雨は上がり、フィナーレへ 大挙する馬の骨とともに

 

S__19685386

疲れた。正直動きたくない。

確かまともに動けたのは昼を回ってからで、この日はステラドネリーから始めた。彼女もまた、スタンスを持った音楽だったが、それ以上に彼女のKAWAIIに惹かれている客を見るのがきつくて早めに出た。

 

毎年フェスで会う友人(まぁ大学の友人なんだけど)たちと会ったので、ネバヤンを少し見る。お別れの歌、サークルでコピーしたので聞けてそれなりに上がった。

次は確か、TENDRE見たかったんだけど、最近はやりのあの手のシティポップは結構エネルギーを使うのでここは諦め、ハイエイタスカイヨーテに向け万全の体制を整える。この日は関西方面からも友人がたくさんきていて、そのほとんどとハイエイタスカイヨーテで合流した。ハイエイタスカイヨーテも正直こんなに市民権を得る音楽になるとは、名前が出始めた当初は思っていなくて、でもまぁライブ見たらそりゃそうなるよなと。モダンジャズで頭が狂った人間が四人集まって、ボーカルのネイパームはファッションもメロディも何もかも奇抜でもはやなんにもわからないし、リズムも何もかも放棄した粘度高めの液体がドロドロしてるような不気味で原始的なグルーヴめいたものがあって。頭を空っぽにして振り回されながら踊る快感はとても脳にいい。近くで見てた薫人がブチ上がり準備を入念にしすぎて両手にビール持ってたのがウケた。くれた。

 

CHONに向けて準備を始めようと思い、まずは腹ごしらえ、そのついでにPHONY PPLを見る。実はノーマークだったのだけど、公式のアオリにTHE INTERNETを対をなすとか書かれてて、そりゃ見なきゃダメだと。トリップホップでは全然ないけど、R&Bの文脈で比肩されるのはすごく納得したし、後で音源も聴いたけど、ライブの熱量が音源とは別物ですごいよ。

トイレついでにSuperfly見て、冷静に歌のうまさに驚きつつ、みんな大好きCHONへ。また僕の話で恐縮だけど、僕の所属していた大学のサークルは異常にCHON好きが多くて、来日の名古屋の時は当時のサークルメンバーの1/4近くと会場であった。15-6人かな?

ライブは少し出音が悪かった感じはあったけど、相変わらずのハッピーで超絶技巧でスムース。特に興味なさそうに立ってた周りの人たちがものすごい笑顔になっていくのを見て音楽の力を信じた。大名曲Perfect Pillowは途中のキメポイントでみんな合いの手を入れるというダサくも愛せるノリがある(多分日本だけ)のだけど、それがしっかりレッドマーキーでも再現されていてよかった。後でその件について苦言を呈しているめんどくさそうなおっさんフジロッカー二人を見かけてちょっとイラっとした。まぁ気持ちもわかるけど。

 

さて、次の僕の目当てはヒラサワはわけだけど、この辺りからレッドマーキーの空気がなんかおかしい。CHONを最前付近に見にいった友人はヒラサワ待ちが地蔵でキツかったみたいな話してて、フジでもそんなことあるんだなと思ったけど、CHON終わった瞬間にやばい人相の人間たちが前の方に突進していくのを見て妙に納得した。僕は少し後ろに下がり、穏やかそうなファンに紛れて登場を待った。バンド間のインターバルを丸々出待ちに使ったのはヒラサワだけだった。僕も結構ファンなので楽しみにしてたんです。

レーザーハープはともかく、まさかのテスラコイルまで持ち出して、気合十分のヒラサワは、新旧織り交ぜベストアルバムなみの豪華さのセットリストで、過去曲も+会人(エジンと読む)仕様でバキバキのテクノアレンジがされていて、もはや原曲どれだと。ところどころ聞き取れるフレーズからたどり着き、食らいついていくファンたちのたくましさに舌を巻きつつも、そもそも空間の「目当て純度」が異常に高かったので、フジと思えない一体感で盛り上がっていてよかったし楽しかった。僕も地味に初めてライブを見られてよかった。またライブ見たくなったけど、ファンが怖いから迷う。僕はSIRENと救済の技法の2枚を勧められて入ったクチなので、一曲目がTOWN-0 PHASE-5でブチ上がった。

 

そろそろ長かったフジロックも終わりに近づいていて、キュアーもほどほどにJames Blakeへ。時間があったので、関連のインタビューとか色々読み漁りながらスタートを待っていたら、彼の繊細な精神性に少し気持ちがリンクしてしまって、当事者感をなぜか感じながら彼のライブを見ていた。ステージの不調で急遽配信を取りやめたことも、どこか振り絞るようなThe Wilheim Screamも、今年のフジの走馬灯のその裏のBGMのように「僕の今年」を終わらせにきていて、包み込むようなサブベースに感情がなぜか揺さぶられ、とてもセンチメンタルな気分になってしまった。まだ帰りの出発まで少し時間はあったのだが、その感傷を他の音楽で上書きするのが嫌で、見たかったNight Tempoもスルー。車にたどり着く。

 

帰るまでがフジロックな訳で、初めてまともに下道運転したり、それなりに疲れながらも東京へ帰投。それぞれの荷物を持って家に着く。有給を取っておいた喜びを噛み締めながら疲れを落とし、僕のフジロックは終演。

今年は記録的な大雨に見舞われてボロボロになったけど、それでもあの場は代え難い体感の場で、また次もいくんだろうなと思う。来年は台風が心配だね。

 

オマケ

 

フジは毎回ラーメンチャレンジという、可能な限りたくさんの種類のラーメンを食べるイベントを一人でやっているのだけど、今年は5杯でした。ホワイト近くの中華そばが一番美味しかったかな。

 

S__19685389 S__19685390 S__19685392 S__19685388 S__19685387

WRITER

tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

このライターの記事を読む