disc reviewonline interview cllctv. meets グッドバイモカ
ちょっと前から思うのがシティポップじゃなくてタウンポップだなって
ツジ:では、話を移して。そもそもグッドバイモカに影響を与えている音楽ってなんなんだろう。
池田:直接的に影響があったのは壊れかけのテープレコーダーズかな。
髙井:うん。
ツジ:編成とか音楽性とか、根っこの影響が大きそうだね。元々はどっちが好きなバンドだったんだ?
池田:当時は俺がyoutubeでライブ映像みつけてきて、なんかビビっときたからこれのコピーしようよと。編成もそうだし、音楽性も。壊れかけから学んだことは数え切れないくらいあるな。
ツジ:なるほど。そもそも二人はどういう音楽を聴いて育ってきたんだろう。バンド結成時はベースやドラムの方がずっと詳しかったという話もあったけど。
池田:初めて買ったCD、ドリカムだった。
髙井:わたしは10歳上の兄がバンドやってたので、ほんとに、バンドというものへの憧れしか持ってなくて、高校時代は音速ラインとかメレンゲとかフジファブリックとか、いわゆるキている邦ロックを聴いてたなぁ。初めて買ったCD、宇多田ヒカル。
池田:多分髙井も俺もかなり平凡な少年少女だったから、TSUTAYAでキてそうなバンド借りるくらいだったんじゃない?
髙井:あと、なんか音楽雑誌とかね。
池田:だから(そういったメジャーなものに親しんできたから)小さいライブハウスで爆音のエレクトリックギターとオルガンで俺たちにもわかるようなメロディをツインボーカルで歌ってるバンドがいたっていうのは、例えばビートルズを初めて聴いたとか、そういうロックショック的な経験だったんだと思う。
髙井:壊れかけ、素直にカッコイー!と思った。
ツジ:こう、大きなバンドをCDで聞いたりしていた経験から、一気に小さなライブハウスでエネルギッシュに音楽をしているバンドを見つけた時の衝撃ってものすごく大きかったよね。自分も高校入ってインディーズバンドを聞くようになってかなり価値観は変わったように思う。
池田:まあここが居場所だって思ったよね。
髙井:わたしは1度め、少しわかんなくてわかったふりしたんだけど、なんか、いつだったかめちゃめちゃカッコいいということに気づいた。
ツジ:そこがバンドに至る初期衝動として大きな部分だったわけだ。そこからバンドとして活動を始めてたくさん曲を作っていったりする中で、影響を受けるものって変わって行ったりしたんだろうか。JPOPばかり聞いてた池田も、打ち上げで魔ゼルな規犬の話をするようになったりしたわけで。
池田:打ち上げで人間大學レコードの話ずっとしてたな。すな。
髙井:壊れかけから派生して聴くようになったかな。
ツジ:最近の曲だとシティポップ(リバイバルでない)ぽさとか、あとサニーデイ・サービスとか、そういう音楽の影響が強い気がしてたり。変遷を感じるね。
髙井:最初はわりとコンセプチュアルだったり、強いワードを押してる曲が多くて、それは、キャッチーだったね。
池田:元々シティポップやりたかったんだよね。2013年とかって今みたいにシティポップが若いバンドに浸透してなくて、どっちかっていうとポストパンクとかの流れが相対性理論筆頭に邦ロックに増えていったイメージなんだけど。そういうのを本当はやりたくて、スミスとか。でも圧倒的に演奏が下手だから、演奏というよりは伴奏に近くなっていくんだよね、コードばっかり弾いたり。でもメロディはなんかポップという。
ツジ:なるほど。そういう自然発生的なスタイルがポップス路線へのきっかけになった?
池田:だからグッドバイモカってこうだよね、ってイメージは演奏が荒削りで歌がポップってところだと思うんだけど、それは自然にそうなったってところもあって、わざとそれに乗っかっていった部分もある。
ツジ:確かにそういう印象は持っていたかも。
池田:だから癖っ毛とか眼鏡とかと同じようなものっていうか、最初は仕方なかったけど活かせばかっこいいじゃんっていう。
髙井:そこに、ひねくれ、という要素も大きいと思うけど。
池田:それってなりたちから方法までつまりロックバンドであるということなんだけど、ポップスに対する憧れとこだわりもあったから、その部分のバランスを今回やっととれたなって。グッドバイモカはロックバンドなんだということを7年目にして理解できた。
ツジ:長い道のりだった。
池田:死にかけたよ。
ツジ:もともとやりたかったシティポップにも大回りしてかなり接近してきたんじゃない?いい意味でエッセンスを取り込んで。
池田:どうだろう、多分既出のワードだと思うけど、調べてないから。ちょっと前から思うのがシティポップじゃなくてタウンポップだなって。
ツジ:団地とか、それくらいの温度感だよね。まさにsummer time 団地って曲もあるわけだけど。
池田:コンピの曲ね。あれは鶴舞のライブハウスの支援ということで作ったんだけど、まあ団地とか、新興住宅地とかまあつまりめちゃくちゃ平凡なんだよね二人とも。
ツジ:その平凡さが「タウン」なんだ。
池田:まさにね。田舎もん根性なんですな。
髙井:街じゃなくて町!みたいな話もよくしてた気がする。
ツジ:程よい温度感や距離感を音楽から感じるのはそういった「町」のおかげなんだろう。
それがグッドバイモカらしさであり、良いところだね。次は歌詞の話も聞いてみたいね。