disc reviewonline interview cllctv. meets グッドバイモカ

tomohiro

「これやらないと2020年のグッドバイモカから先行けないな」と思えて、ひとまずそれが完成したな、という実感がある


 

20200118-51

ツジ:今回のアルバムってそもそも何年ぶりの音源だったっけ?

池田:前回が2016年だから4年かな?

ツジ:そうなると、東京に来てからは初めての音源ということになるか。

池田:実際入ってる曲で一番古いのは「anne」だったと思うけど、もうそれは名古屋いた時からあったんだけどね。

ツジ:そうだね。MVあるやつね。

池田:こっち来てから作ったのは
・ノータイトルサマーポップス
・エリ子と馬鹿者たち
・ニュータウン
・ユーミン
かな。あとはボツになった曲が2、3曲。

ツジ:なるほど。4年というと、結構前作から時間は空いてると思うけど、アルバムを作ること自体はいつ頃決めた?

池田:多分結成してから毎年なんらかの音源出してはいたから、前回のアルバム出た直後にはもう構想はあったと思う。具体的な制作というか、動き始めたのはいつだっけ、去年の11月くらいかなあ。

髙井:もともとanneのMVくらいに、アルバム出す話はあがってたのだけど、メンバー抜けたりしてアルバムも頓挫したよね。

池田:元々「MEIMEI」ってタイトルのアルバムを出そうっていうのはずっと言ってた。それこそ名古屋いる時から。

ツジ:東京越してきてからいろいろバタバタしてたりもあっただろうしね。そうだったんだ。ちなみにその「MEIMEI」っていうのは?

池田:各々って意味の「めいめい」と迷ってるって意味の「迷」をかけたんじゃないかな?単純に10曲入りのアルバムを想定していたけど、それが色々あって中断して、さらに曲を減らして最終的に「2020年のグッドバイモカ」として出したという感じ。

 

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池田:ジャケットの女の子はグッドバイモカのロゴになってるキャラだと思うんだけど、そのキャラと別れる所書いてるってことは、その頃から結構現状のバンドや今までについて思うところあったんじゃないかな。それで迷ってるっていう。

髙井:グッドバイモカのロゴの女の子、モカちゃんって呼んだりして、コンセプチュアルな路線の象徴だったから、それにお別れしてる絵って全く気付いてなかった。そうだったのか。

ツジ:そういう現状を何かしら形にしようという話だったのかな。そこから紆余曲折を経て今作『2020年のグッドバイモカ』に行き着くわけだけど。去年の11月にはもう曲目とかアルバム名とかは決まってた?

池田:ほとんど出来てたんじゃないかな。「ニュータウン」だけギリギリで作ったけど。Internal Meeting vol.1を控えてたタイミングでやる予定だった曲が納得いかなくて、急遽作りかけの曲を髙井と二人で作ったんだと思う。

髙井:ニュータウン、メロディだいたいできてて、構成がまとめづらいからって相談したんだよね。

池田:ニュータウンに「去ってゆく人ばかりだね」って一節があるんだけど、名古屋から同世代が沢山東京に来たっていうこととか、バンドから人が居なくなってったこととか、なんか色々包括出来た感じで。ニュータウンが出来て「2020年のグッドバイモカ」というタイトルにしようって決められた気がする。

ツジ:確かにあの曲は、自分にも何か近い温度感のものを感じた記憶があって。そういう意図のあった曲ならそれも納得がいくな。そして、ニュータウンも揃ってレコーディングを始めたわけか。今作セルフレコーディングだったと思うけどそれはもともと決めてたこと?

池田:録りは自分でやって、ミックスは外部か、メンバーに頼もうと思ってた。それが3月くらいのタイミングで録りが終わって、1か月くらいミックスで時間とってたと思うんだけど、ちょっとコロナで仕事も、レコ発もなくなっちゃったから全体の予算組みが全部狂っちゃって、もう自分でやるかって。やるかっていうか、やるしかなかったんだけど

ツジ:タイミングが完全にかぶっちゃってたところもあったしね。。。レコーディング自体はつつがなく終えられた?

池田:レコーディングも一回完全に俺のミスでドラムのデータがぶっ飛んだっていう。全部じゃなかったからなんとかもう一回出来たんだけどね。
あ、そうだ、歌録りだけ3月ちょっと越えたんだ。でもコロナで一回放置状態になったのと、ステイホームで全く声が出なくなってたから、一週間くらい禁煙とランニングしたなぁ。

ツジ:人に会わなくなるとはいえ、本当に声って出なくなるんだな。

池田:まあ普段から家で歌ったりするタイプじゃないんだけど、本当に全然出なくなっちゃってびっくりした。

髙井:そういえば、3時間くらいやって、録音した歌全部消して帰ったこともあった。

池田:レコーディングからミックスまで全部人のいない夜から朝にかけてやってて、最後の方完全に昼間寝て、夜作業して、帰って寝ての繰り返しだったから、ずっとイライラしてたんだろうな。普通にムカついて良テイクまで全部消してスネて帰ったという。

髙井:結果録り直したほうが良かったからヨシ!配信サイトが無料で使えるのが5月いっぱいで、できればそれに間に合わせたいって話もあったから結構無茶もしてた。夜中に呼びつけられてボーカル録ったり。

池田:本当にこの音源は呪いだったので、そういう期限にかこつけでもしないとまた出来ないぞっていう気持ちがあったから。この音源作っておかないと次にも行けないんだろうな、っていう呪い。

 

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ツジ:ある種呪いでもあったものを振り切って世に出た『2020年のグッドバイモカ』という作品。ここには何か込めていた想いとかあったりするんだろうか。

池田:ジャケットになってる絵の元々のアー写として撮った写真があるんだけど、あれはしばらく会ってない家族とか友達とかに送る絵葉書みたいな感じで撮ろうって言ってて、アルバムもそういう心持ちなんだよね。それと本当にたまになんだけど、TwitterのDMで4、5年前に一度観て、音源も買ってずっと聴いてますとかメッセージが届いたりするんだよね。殆どなにもやってない期間にそういうの読んでたから、はるか昔にグッドバイモカ好きだったり見かけたような人への報告っていう気持ちがある。

ツジ:いわゆる生存報告的な、そういうニュアンスのあった音源だったわけだ。正面を向いている二人のジャケットには確かにそういう面持ちがある。

髙井:あれ、朝6時に呼び出されて撮りました。

ツジ:いつも無茶苦茶だな。

池田:あとは2020年っていう年がこういうことになって、特別な意味を帯びたっていうのはタイトル考える前は思いもしてなかったし、なんか変な因果みたいなのがやっぱりあったんだろうなぁって思う。

ツジ:何かと象徴的な音楽にはなったね。ジャケットは誰が描いてくれたんだっけ。

池田:風見2さん。もともと個人的にめちゃめちゃファンで、昆虫キッズのフライヤーとか音楽関係の絵もたまに描いてたんだけど、それとはあまり関係なく単純に大好きだったからお願いしたっていう。

ツジ:おお、昆虫キッズ。ちなみに髙井は何かこのアルバムを出すにあたって思いはあった?

髙井:さっきも少し言ったけど、はじめ「2020年の」くせに2018年ごろの曲ばっかりで、やる気起きなかったんだよね。でもあくまで己の気付きで「これやらないと2020年のグッドバイモカから先行けないな」と思えて、ひとまずそれが完成したな、という実感がある。
アルバム作るにあたって池田さんはよく頑張ってくれて、ていうか池田さんは非常に容量悪くて不器用なところがあるので、普通ならショートカットできる部分を何周もしたりしてると思うんだけど、やり方もこれまでのバンドの色々も、そういうふうにしかできなかったわけで、ひとまず、これができたな、ここまで来たなと。

ツジ:このアルバムを聴いて、集大成というとなんか少し違う気がして、なんというか2020年に置くマイルストーンのような位置付けであるように感じたんだよね。あくまでも今後も続いていくグッドバイモカの、その中の今現在だよというような。

池田:そうだね、あとマスタリングまでやって、手伝ってくれた人と二人で「ライブみたいだね」って笑ったんだけど、ライブ出来ないからさ、今。本当にマイルストーンって感じ。

ツジ:ライブみたいだねっていうのはどういった部分が?今回のイレギュラーが多かった一連の制作?

池田:いや単純に音かな。

ツジ:若干ロウな耳触りも合わせて、ライブっぽさというか、インディーズみというか。
2020年だからこその音楽であり、その質感にはノスタルジーも漂うというのはとてもグッドバイモカらしく思う。

池田:本当グッドバイモカそのものだと思う。

ツジ:そんなアルバムを世に出してすぐではあるんだけど、最後にということで聞きたいんだけど。これからのグッドバイモカはどうしていきたい?

池田:髙井はどうしたい?

髙井:う〜ん、アルバム完成したけど、これからどうなってくかは全然わかんない。まず2020年も半分残ってるし。でもバラバラな趣味のメンバーいた頃から、散々一緒にい尽くした奴が残った今まで、ひとまず続けたいな、とずっと思ってるよ。池やんは?

池田:とにかく新曲がもう4、5曲あるので早く次のアルバム作りたいかな。次作るために2020年のグッドバイモカを作ったっていうのもあるし、その後のことを考えてもその通りになるほど上手じゃないってのも身に染みてわかったからさ。髙井の曲も次は入れようかな。

ツジ:確かに最近のグッドバイモカは池田の音楽なイメージもあるから、髙井の曲も入るとまた雰囲気変わるかも。そんな感じで、今後もグッドバイモカ、自分たちのやり方で歩みを進めていってもらえたらと思います。長い時間のインタビューありがとう。おつかれさまでした。

髙井:お疲れ様!!!!

池田:お疲れ様でした!

 

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tomohiro

エモを中心に枝葉を伸ばして聴いています。アナログな人間でありたいと思っています。野菜がたくさんのったラーメンが好きです。

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